- みんなの評価
9件
文学部唯野教授
著者 筒井康隆 (著)
これは究極のパロディか,抱腹絶倒のメタフィクションか! 大学に内緒で小説を発表している唯野先生は,グロテスクな日常を乗り切りながら,講義では印象批評からポスト構造主義まで壮観な文学理論を展開して行くのであったが….「大学」と「文学」という2つの制度=権力と渡り合った,爆笑と驚愕のスーパー話題騒然小説.
文学部唯野教授
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
文学部唯野教授
2003/08/30 12:24
唯野教授の知識量にびっくり
8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:中堅 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本は批評理論九つを唯野教授が講義します。
そして、講義の間には、はちゃめちゃな物語が講義に疲れた読者の集中力を回復させてくれるので、講義自体は後ろに行くほど難しくなっていくのですが、最後まで読ませてくれるでしょう。
また、唯野教授の博識振りが発揮され、固有名詞があふれかえっているために、いやでも勉強になります。
そのあたりは、ちょっと嫌気が差す読者もいるんじゃないかと思いましたが、すさまじいまでの唯野教授の饒舌は、それだけでも十分に楽しめるので安心して読んでください。
「文学理論は必要です。評価する・あるいは否定する根拠なしの、曖昧主義的な批評にさらされているわが国の作家たちには、それも特にこれから小説を書き・発表する若い人々には、文学理論に立つ批評がなされることほど望ましい話はないはずです。気分しだいで誉めたり叱ったりする親ほど教育的でないものはないように、あいまい主義的な批評が若い作家を良く育てうるとは思いません。」大江健三郎-「新潮」昭和六十二年二月号「『読む』と『書く』の転換装置」
この引用された大江氏の言葉から、講義が始まります。
「本の正しい評価なんてできない」。
そこで思考停止していた私は、唯野教授の講義がとても新鮮に思えました。
文学部唯野教授
2022/11/02 04:35
文学理論に惹かれて購入
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:てん - この投稿者のレビュー一覧を見る
初めは主人公が文学理論の講義をする部分を楽しみに読んでいたが、段々とめちゃくちゃになっていくストーリーにもハマっていった。蟻巣川のキャラがお気に入り。
2019/10/16 22:04
文学理論と大学文学部の内部事情
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
とある大学の文学部教授である唯野による文学理論の講義と唯野の勤める大学文学部の因循を筒井康隆らしい毒のある笑いで表現した小説。ちょっと理解の出来ないような出来事が多いのだが、本当にあったこともあるのだろうか。人事のことなどはリアルっぽいが...。