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5件
杉の柩
著者 アガサ・クリスティー (著) , 恩地三保子 (訳)
婚約中のロディーとエリノアの前に現われた薔薇のごときメアリイ。ロディーが彼女に心変わりし、婚約は解消された。エリノアの心に激しい憎悪が湧き上がり、彼女の作った食事でメアリイが死んだ。犯人は私ではない! エリノアは否定するが……嫉妬に揺れる女心を、ポアロの調査が解き明かす。
杉の柩
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杉の柩
2018/09/24 13:35
文学的
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぷりしら - この投稿者のレビュー一覧を見る
勿論ちゃんとしたミステリーなのだが、かなり「文学」寄りなテイスト。
アイディアが優れているという以上に、法廷の審問で徐々に真相が明らかになるその見せ方が上手い。
まさに「手練れの技」という感じ。
杉の柩
2021/08/11 15:42
不思議なタイトルですが、面白さは抜群
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
原題が「Sad Cypress」という、アガサ・クリスティーが1940年に発表したポアロものの長編小説。
この原題を直訳すると「悲しいイトスギ」で、シェイクスピアの戯曲の一節らしい。それを坪内逍遥らが「杉の柩」と訳したのが、ここでも使われているらしい。
その言葉を引用したのは、殺人罪で公判中の女性エリノアの叔母ウエルマン夫人。しかし、この言葉と事件とは直接関係していない。
エリノアが何故殺人罪を問われているのか。
ここまできたら、さすがのポアロといえ出番がなさそうに思えるが、エリノアを密かに想っている医師ロードが彼女の無罪を信じてポアロに事件の真相をあばくように依頼したもの。
400ページほどある文庫本で、殺人が起こるのは160ページあたり。
つまり、そこまではエリノアを中心として殺された女性メアリイ、エリノアの婚約者でありながらメアリイに言い寄るロディーなどの関係が描かれていく。
メアリイを殺す動議はエリノアにはあった。しかも事件現場に彼女はいたわけだし、亡くなった叔母さんの遺産というお金の問題もある。
途中で怪しい動きをするロディーなど、アガサの仕掛けは用意周到である。
これで犯人を見つけ出せと言われても、できるはずもない。
今回はポアロの推理が公判中の裁判の中で活用されていく。
そういう点では裁判劇のような緊迫感のある作品に仕上がっている。
杉の柩
2020/11/13 19:20
心理描写
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
自分もそうなので、感情を剥き出しにしないエリノアに共感出来ました。そもそもロディーの魅力というのが全く分からないのですが、彼の心変わりを知っても自分の感情を押し隠す、メアリーを憎みながらも何も言えない、といった心境の描写がとても興味深いです。犯人に都合が良すぎる展開もありますが、そんなことは気にならないくらい雰囲気が良いです。