地名で読む江戸の町
著者 大石学 (著)
小石川、門前仲町、八丁堀、さらに寅さんの柴又、遊郭の吉原……。地名の由来を探れば、過去の社会制度や事件、人々の生活が身近に見えてくる。本書は、地名をもとに江戸の歴史と町へ...
地名で読む江戸の町
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商品説明
小石川、門前仲町、八丁堀、さらに寅さんの柴又、遊郭の吉原……。地名の由来を探れば、過去の社会制度や事件、人々の生活が身近に見えてくる。本書は、地名をもとに江戸の歴史と町へ接近(アプローチ)。第1部では、幕府の都市づくり政策を概観する。寺社、町人地、鷹場はいかにして造られたか。さらに「大江戸」「江戸っ子」の呼称成立の背景や、消えた地名についても言及。第2部では、江戸とその周辺を機能・地域別に九つに分類し、50の地名の具体的歴史を探訪する。すなわち、[1]幕府が造った町(丸の内・高田馬場)、[2]武家地(有楽町・御茶の水)、[3]寺社地(浅草)、[4]町人地(両国・蔵前)、[5]水辺の町(佃島・築地)、[6]交通の要所(日本橋・新宿)、[7]遊び場(猿若町・飛鳥山)、[8]武蔵野(練馬・小金井)、[9]東の郊外(柴又・小松川)などというように。市町村合併による地名改変が盛んな昨今、貴重な文化遺産としての地名を再認識できる本である。
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時代小説を読むときの参考書に
2001/03/25 15:38
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エンドルフィン - この投稿者のレビュー一覧を見る
私事だが、昨年勤め先が両国に移転した。それで初めて知ったのが、赤穂浪士の討ち入りで有名な本所松坂町吉良邸というのは、現在のJR両国駅と目と鼻の先にあったのだ。ことほどさように、時代小説でおなじみの地名も現在のどのあたりか判らないことが多いし、当時どのような町であったのか想像するのは難しい。この「地名で読む江戸の町」は、そんな時代小説のファンにうってつけの本である。
第一部では、「江戸の町の誕生と成長」と題して、その歴史的背景を概括しているが、第二部「地名で読む江戸」で、それぞれの地名を取り上げて、その由来や地域の特徴について解説してある。たとえば、わたしの勤め先のある両国についてはこんな具合である。
明暦三年の大火後に、隅田川に大橋という橋が架けられた。この橋は、武蔵国と下総国の間に架けられたことから、両国橋とも呼ばれるようになった。現在の地名の由来も、ここからきている。
なんの疑いもなく、両国という地名を使っていたが、なるほど何ごとにも由来があるものなのだ。このほかにも、後楽園、八重洲、お台場、などざっと五十あまりの地名について解説してあるが、いちいち感心することが多い。また、地名の由来だけでなく当時の町の特徴についても書かれており、ちょっとした江戸通になれること間違いなしである。
ただ、惜しむらくは付いている地図が貧弱である。ここはやはり、当時と現在を比較できるの詳しい地図が欲しいところだ。新書版という制約があったのだろうが、この一点が惜しまれる。