「肯定を、したいと思った。強く。」
2022/05/06 07:49
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投稿者:やじやじ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネタバレあり
表題作と
「おやすみ、ロビンソン」の二本立て
レビュータイトルにつけた冒頭の一文にがしっと鷲掴みにさらました。
青春のきらきらともやもやを良く現わしている作品
入学したての塁は「ヒカリ」と間違って呼び止められる
呼び止めた槙志
入学したての大学での出会い、
そして関係を深めていく。
人懐っこい性格で甘く柔らかく育てられた塁と
育ちから寂しがり屋な気持ちを潜めながら思慮深く(あるいは考えすぎになる)槙志
二人が作中でしているオセロのように
陣地取りのような感じで揺らぎのような感情と関係が描かれている。
塁はまさにこの両親に育てられたんだなぁって人間で、
このくらいの年特有のゆらぎと力がある。
「ヒカリ」の正体はそうくるかぁって感じでしたが
槙志の性格や行動様式みたいなのを照らし合わせると
なるほどなぁって感じです。
お互いの気持ちを伝え合って「よしよしー」って感じではなく
その後がまたらしいかなって感じ。
お互いがお互いを思っているのですが、
その思い故にすれ違い
読んでいるこちらが「ああああ」みたいに思わず言ってしまう感じ。
物慣れない、青い春の恋はすんなりとはいかない。
で、槙志は「友人に戻ろう」なんて言ってしまうし・・・・。
とはいえ、歯がゆい感じの二人の気持ちのもだもだ感は
ちょっと不器用で切ない気持ち同様にきらきらしい季節の恋物語を味合せてくれますね。
青い春の物語でした
☆3.5
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投稿者:沢田 - この投稿者のレビュー一覧を見る
大きなことの何も起こらない、大学生のありふれた日常なのに色鮮やかに目の前に再現されるような繊細な文章はさすがです。
一穂さんの、心情を表す言葉は独特なのに、それしか考えられないかのようにぴったりとはまってしまうのがすごい。
ただ、残念ながら今回は私の萌えから外れていたようであまり心に響かなかったです。
金さんのイラストと、一穂さんの文章が合わない気がしました。
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大好きな作家さんのひとり、一穂先生。
★の評価にはずいぶんと悩みましたが理由は最後にでも。
今回のお話はふたりの…というかどちらかというと塁の心の内(ぐるぐるとした)がよく分かる書き方になってました。なので「どうして槙志はそういう風に考えるの?」って同じように悩みました。お互いが思ってることがなんというかかみ合わない感じがもどかしかった。
ヒカリが気になって気になって仕方のない塁の気持ちはすごくよく分かったし、奥手というかあまりにも何も求めない槙志がもどかしくもありました。でも最後は、最後まで求めあえてよかった。ノリが照れとはいえ、割とずけずけと言うところにはちょっと驚きつつ。エッチの時にそんなこと言うの?と思いつつ、やっぱり照れと若さからかな?そんな掛け合いでした。
★の評価は悩みました。
凪良先生の時に書いたのですが、こればっかりはどうしようもない"絵師さんが苦手"です。
繊細な、すごく心惹きつけられる文章に、今回の線の太いゴッツリとしたイラストが私には受け入れにくかったし、頭の中でイメージしていたふたりとちょっと違ってました。
大好きな作家さんだからこそ、この違和感はぬぐえないし、苦手な絵師さんだとその温度差に評価が苦しいところ。
格別、自身の大好きな作家さん(一穂先生・凪良先生)だとその温度差はすごく際立つ。
散々悩みましたが、小説は★4.5、挿絵は…な感じでトータル★3です。
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恋愛になる前は、深く考えずに上手く槇志と付き合えていたのに、恋愛関係になった途端不器用になってしまった塁が、とても可愛くて共感というか、わかるな!と思いました。
話の主軸になる『ヒカリ』という人物の話は、塁がいることで重くなりすぎずに、でもとても大事なこととして描かれている気がしました。
塁と槇志がメールでオセロのやりとりをするシーンが好きです。
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青春の空回りw
自分的にあまり萌えなストーリーではなかったけど、後半はJxKだと思って読んだらなかなか楽しかった…
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大学生 槙志×塁
大学生になったばかりのドキドキ感とか新鮮感が、「あ~なんかこんな感じってありそう」って思った。中学生でも高校生でもない、新大学生っての。
あまり一般的で無い事象を扱うのが上手い。
今回は、「イマジナリー・フレンド」
エピソードとしては、口笛、その選曲の使い方(題名の元だよね)、オセロの持つ意味とか。無駄が無い。
槙志の実家の描写はいいなぁ。
私の田舎は盆地で農家だけど、漂う空気にシンパシー感じちゃう。
後半は、普通にCPのその後。
初Hが、まるで手引きのように詳細、でも、美しくも気障でもロマンチックでもなく、等身大っていうか、現実的。そんなとこもいい。
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さらっと読んでさらっと終わった感じなので、可もなく不可もなく。
良くも悪くも引っかかる部分もなく、なんとなーく、ほんとに
さらっと読み終わってしまいましたので、どんな話だったかも
あまり覚えていない……。
デビュー作から期待して今まで読み続けてきましたが、
一穂さんの作品は、これで終わりにしようと思いました。
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前半は雑誌で読んだ、タイトルもイラストも好きな夏らしい作品。後半の続き書き下ろしは、キャラの面倒くささを反映して、ちょいちんたらしますが、さすがの一穂さんクオリティです。
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一穂さん作品群の中で特に好きかと言えばそうでもないけれど、嫌いかと言われれば全然そんなことはないという感じ。
大学に入学したばかりの4月、これから出会うすべてのものへの期待、恐れ。それら全部で、つい体が浮き足立ってしまうような季節。塁は突然知らない誰かに『ヒカリ』と呼び止められる。もちろん自分は『ヒカリ』なんぞではなく、きょとんとする塁に人違いだったと謝ってきた男。自分と同じ新入生の槙志だった。見た目通り浮ついたところのない誠実な人柄の槙志と塁は本来の気安さを最大限に発揮してすぐに打ち解ける。
塁は『ヒカリ』に似ているのだという。人違いだと頭ではわかっているのに、つい声をかけずにはいられなかった、あの切羽詰まった感じが塁はいつまでも忘れられない。何事にも慎重で落ち着いた槙志に似合わないと思ったから。
気になって気になって、それが単なる好奇心なのか、いっそ自分が『ヒカリ』の代わりになりたいのか、塁はだんだんわからなくなる。いつまでも槙志の心の一部を占めている『ヒカリ』
知りたくて仕方ないのに、でも本当は何も知りたくないような、ひとりで空回る気持ち。
そして何の前触れも言葉もない、突然のキス。
えっ何いまの…と戸惑いながらも、塁の気持ちはごくごく自然に恋愛感情にシフトしていく。
そしてようやく明かされる『ヒカリ』の秘密。
外見のしっかり者っぽいイメージの下に隠されていたナイーブで怖がりな槙志。
男と付き合った経験こそ皆無だけれど、そんな槙志への気持ちを募らせていく塁。
素直に高まる気持ちをぶつける自分とは対照的にどこか理性的な槙志につい焦れったくなってしまう。
かみ合わないことが、さらなる焦りを生んでお互い誤ってばかり。こんなことになるくらいなら、好きだけど元の友達に戻ろうと告げる槙志。
こういう展開デタ━━(゚∀゚)━━!!!
慎重で臆病で相手を想うあまり、かえって相手の気持ちを置き去りにしてしまうパターン。
槙志の過去を思えば致し方ないと頭ではちゃんとわかっているはずのに、心が納得できなくてついていけない。
最終的には塁の屈託のなさが、臆病な槙志の心を融かすから、まぁいっか、なのだけどさ。
とにかく塁が嫌みのない、健やかないい子だった。あのご両親あっての塁なのだと強く思う。
槙志も表面的にはしっかり者でそつがないのに、内面に脆さを持っている、そのギャップ感が、塁とは対照的でまた良かった。
一穂さんにはめずらしめの等身大の大学生のモダモダ恋愛してる感じが新鮮で悪くなかったけども、だからこそ尚更『イマジナリーフレンド』なんて特異な設定じゃなくてもよかったんじゃないかな~とも思った。
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★3・5
★青春って感じでした~。一穂さん作品は、読み終わったあとに良かったとしみじみする。両想いで付き合うことになったのに、後半お互いの気持ちがちぐはぐになってすれ違ったのはじれったかったし、槙志めんどくさ!って思った(笑)塁の元気ではっきりした性格好ましかったです。
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あぁ、友情とか愛情とか……好きすぎて嫌われたくないとかそういう気持ち、うまいよなぁ。男の子のキラキラ、ごちそうさまでした。
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やや超展開気味な点が細部にあるものの、全体的な甘酸っぱい青春もので読んでいて快い気持ちになります。
一穂さんの描く青春小説ものはやはり良いですね。
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『ヒカリ』に間違われたことで槙志と知りあう塁。同じ大学同士、意気投合していく二人の会話が楽しくて気持ちも弾んでいった。
互いに、なんとなく気になる存在になっていく過程や会話も自然。ただそこに『ヒカリ』というギミックが仕掛けられていて、そこをストーリーの要としていたのは余計だった気が。個人的には、ただの学生同士のラブにした方が、しっくりする話になっていたのではと思う。
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一穂作品としては強烈なインパクトはないんだけれど、繊細さと感情の機微がじわじわと染みる良い作品でした。どの作品もだけれど、地の文に印象的なはっとするフレーズがとても多くて、大学入りたての思春期の男の子ならではの瑞々しさと煌めきがもたらしたものなのかな、と。
家族や友人関係、育ってきた環境、人と人との距離の描き方がとても繊細でリアルな機微に溢れていて、はっとさせられたりドキドキさせられたり
等身大できらきら眩しい、純度100パーセントのまっすぐな男の子たちだなぁと。
モチーフとなるオセロの使い方、友達→恋人に変わってからのすれ違いともどかしさがなんともキュンキュンさせられました。
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「欲目だって、言おうとして、やめた。めちゃくちゃ好かれてますって自ら言うようなものじゃないか。」
オセロの使い方が、表現の仕方が、絶妙で……サイコ〜
(再読)