『欲望する「ことば」』
2018/02/25 19:14
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投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
加齢臭、イクメン、草食男子、女子力、ロハス、おひとりさま、コギャル、第三のビール...
生まれたときには辞書に載っていないのに、いつのまにか社会的に広く知られるようになり使われるようになる流行語を「社会記号」と名づけ、マーケティングのプロと研究者が考察する
《「そうそう、これが欲しかったんだ!」》の謎を解く
マーケター、広報担当者、商品開発者は世の中の「ちょっと先」が見えるようになるために、生活者、消費者としては世の中を見通しクリティカルに洞察できるようになるために
気鋭の文化社会学者と広告のカリスマが贈る「記号社会」についての論考です!
2017/12/26 10:40
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、「記号社会」について気鋭の社会文化学者と宣伝のカリスマと呼ばれる著者2名によって書かれたものです。「記号社会」とは、「インスタ映え」や「美魔女」などに代表される時代を映し出す言葉が社会に浸透し、世界の見方を変え、市場を支配してくというような社会を指します。そして、こうした記号社会がますます私たちの日常において大きな位置を占めてきています。本書は、こうした記号社会を再考し、どのようにして生まれ、どのように成長していくかについて詳細に分析した論考です。
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社会記号とは、世の中に新しく生まれたニーズや欲望を捉えて言語化したもので、それが定着することで一般名称となり、新たな文化や大きな市場を創造することがある。そのため「社会記号についての知識や理解は、マーケターや広報担当者、それに商品開発者には欠かせない」と著者の嶋浩一郎氏は述べる。
共著者でマーケティング研究者の松井剛氏は、聞き慣れた「加齢臭」「女子力」「癒し」などを例に、これらの社会記号の成立・変遷・市場形成(いつどこで生まれたか・どのように意味や使われ方が変化したか・どのような関連商品が生まれたか)などを説く。これらはマーケティング従事者でなくても気軽に、かつ興味深く読める。しかし第三章以降は内容が学術的になり、言語学や社会科学からの引用著述も説明不足で、誰に向けて何を書こうとしているのかがよく判らない。
一方、嶋氏が語るのは社会記号だけでなく、生活者インサイト発見の方法やメディアとの向き合い方など、これまでインタビューや講演などで氏が提唱してきたことを本書で一冊にまとめた観がある。例えば「ひとが気づいていないことに気づくことがビジネスでは有効」「顧客が欲しいものを先回りして探すところに商機を見出す」「街の中からインサイトを発見する」「雑誌は新しい欲望を発見させるもの」というようなことだ。マーケティングに従事する、あるいは興味のある人には一読の価値ある「嶋氏の思考を知る」一冊である。
#欲望する「ことば」 #NetGalleyJP
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「加齢臭」「女子力」「イクメン」「草食男子」「ロハス」「おひとりさま」「コギャル」「エビちゃんOL」「シロガネーゼ」「美魔女」「できちゃった婚」「朝活」「リア充」「ハリトシス」「ブロモドシス」「アシドシス」「ホモトシス」「臭活」「スメハラ」「癒し」「イケダン」「ちょいワルおやじ」「カエルコール」「朝シャン」「マスオさん」「オタク」「既読スルー」「インスタ映え」「マイルドヤンキー」「モボ・モガ」「セクハラ」「森ガール」「スキゾ・パラノ」「しょうゆ顔・ソース顔」「草食男子・肉食女子」「カメラ女子」「ラーメン女子」「カープ女子」「山ガール」「歴女」「干物女」「断捨離」「ダブルハッピー婚」「おめでた婚」「授かり婚」「クールビズ」「パワハラ」「アカハラ」「モラハラ」「家事ハラ」「マタハラ」「婚活」「美活」「恋活」「終活」「妊活」「離活」「温活」「公園デビュー」「メタボ」「SST」「アラ更」「クラフトビール」「第三のビール」「エナジードリンク」「食べるラー油」「ハイボール」「シュガーレスチョコレート」「デパ地下」「駅ナカ」「ゆるキャラ」「いやげ物」「ルーズソックス」「ジロリアン」「ファストファッション」「ハイビリッドカー」「シックスポケット」「ニアウォーター」「プレミアムビール」「サードウェーブコーヒー」「カリスマ店員」「バツイチ」「カップヌードルごはん」「渋谷系」「都民ファースト」「郵政選挙」「負け犬」「萌え」「コマダム」「モテかわ」「リケジョ」…本書に登場する社会記号なるものの数々。タルコット・パーソンズの「概念はサーチライトである」との言葉通り、これらの新しい言葉は見えなかった欲望を可視化してくます。同時に影もつくり、逆に見えない部分もつくります。企業とメディアのサラリーマンたちが次々に見えない物を見せてくれる時代、影も次々生まれているのだな、と思いました。ネットの世界になって加速される直感的欲望が、もしかしたらポピュリズムの根っこなのかもしれないと思いました。
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社会記号の4類型
①呼称 特定集団を名付ける コギャル、美魔女
②行為 従来の常識を変える 断捨離、できちゃった婚、セクハラ
③脅威 解決すべき問題を提示する メタボ、加齢臭
④カテゴリー ブランドをつくる クラフトビール、ファストファッション、二郎系ラーメン
ことばには、物事を
対象化して
類型化して
匿名化する
役割がある
社会的要請
①呼称ーラベリング 頭の節約
②行為ー動機のボキャブラリー 人はわかりやすい説明を求める
③脅威ースティグマ 社会的に構築される規範
④カテゴリーースキーマ 物事を見るための眼鏡
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「加齢臭」「でき婚」「癒し系」「リケジョ」「リア充」など、新しく生まれた言葉が、消費者の隠れたニーズや本音をうまく表現し、その本質的な特徴を的確に表現することで、社会現象になったりビジネスを生み出したりする。この本質を理解できれば、「コミュニケーション」や「コミュニティ」や「価値」を生み出せるのではないか、ちょっと先の未来を見通せるのではないかと思い読了。「欲望はそれが目の前に発言した時に発動する」「自覚できない欲望の暗黙知を反映させ、言語化する」「商品ではなく現象を語る」「例外ではなく、予兆と捉える」
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マーケティングについて学術的な観点をまじえながら解説するが、少しでも言語学をかじったことがあると、当り前のことばかりが書かれているように感じる。
哲学などの人文学を役に立つ/立たないの文脈で語ること自体が不毛なことであるが、あえてその二元論を用いれば本書は人文学が「役に立つ」ことをあらためて証明したということになるだろう。
ただいくつかおもしろい発見はあって、たとえば社会記号の生成に雑誌が大きな貢献を果たしていることなどは興味深く読んだ。
あ、あとAIは過去や現在のデータから消費者の傾向を探ることはできるけど、真のインサイトを発見して次のブームを生むことはできないっていうのはなるほどとおもった、けど、さらなる細かいデータの蓄積・分析が可能になると些細な変化すらも探知して次のブームを予測できるようになるんじゃなかろうかとも感じる。
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私の読書癖はまちがっていなかった。本の無駄買いをおそれるな。積読を恥と思うな。本屋めぐりは無駄を楽しむこと。本なんか好きなとこからざくざくとよんでいい。ああ、ありがたいお言葉。安心しました。私はあまり好奇心旺盛でもないし多趣味でもないので、読書の範囲は限られているけど、自分の興味のマッピングに書店を利用できるというのは新しい考え方だった。いつか読んだセレンディピティのことを思い出した。
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・メディアは企業の宣伝ではなくあくまでと世の中の変化を伝えるニュースを報じたい
・モノを売るには言葉もまた売らなければならない
・社会記号の裏には「人々の欲望の暗黙知」が反映されている→インサイトの発見と同義
・欲望というものは自存するのではなく「それを満たすものが目の前に出現した時」発動する。さらに人間は自らの欲望をそう簡単に言語化できない→そして人間の欲望は都合がいい。さも前から欲しかったかのように振る舞い出す
・大衆から分衆の時代へ
・「黄金のひとこと」ふとした時に漏れる本音のことば
・「文句」は欲望の裏返し
・広報やマーケティング担当者は自社商品を語るのではなく現象を語ることのできる広報パーソンを目指すべき→社会記号とブランドが結びつく
・笑笑の女子会プランは実態をつかんでいたからこそ成功した→どうやって実態をつかむのか?→憑依するしかない
・メディアの現象発見欲求と企業側のマーケティング戦略のせめぎ合いの中で社会記号とそれを代表する事象が決まって行く
・消費者ニーズがない言葉は社会15にはならない
・例外事例として見るか新しい欲望の萌芽、予兆として見るか。そこの違いは大きい。
・ 欲望つまりインサイトの発見はAI AIにはできないだろう
・少数の事例から通底する欲望を見出ししかもそこに名前を与えることで現象を社会記号と言う上位概念で表現することができる人が優れたマーケッター
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とりあえず一周読んだった〜!
社会記号となった言葉たちがどのように生まれてきたか、具体例も交えて丁寧に書いてあって読みやすかった。
社会記号を作りたいとしたら、人を観察するしかない。欲望のありかを探し続けるしかない。と考えた。「欲望を持つ人」に憑依するために自分が何かの欲望を持ってるのが大事だろうなと思った。
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社会記号とつく本の中で、初めて理解できた。言葉の効果を掘り下げているので、言葉に関わる人は読んでおくべきと感じる。
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『欲望する「ことば」 「社会記号」とマーケティング』(嶋 浩一郎 著、 松井 剛 著/集英社)vol.516
https://shirayu.com/blog/topstory/brain/8634.html
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ビッグデータでインサイトはつかめない
雑誌は読者のインサイトを発見して言語化し、社会記号として提案する。美STは「美魔女」という言葉で、読者が心の奥底では望みながらもうまく言語化できなかった欲望を新しい価値観として提案した。ビッグデータは顕在化している欲望(夏になるとダイエットで検索する人が増える、等)を答えることができても、言語化、社会記号化はいまのところできない。
グーグルのチーフエコノミストは「21世紀の最もセクシーな職業は欲望と欲望を結び付ける統計学者だ」と言ったが、統計データから社会記号を見つけることができる人こそセクシー。
社会記号は誰かが仕掛けてコントロールできるものではない。北朝鮮やナチスドイツでは、皮下注射モデル的に国営メディアによってコントロールしやすいが、日本は右向け右ではなく、企業やメディア、生活者の相互作用で生まれる。作りたいけど作れないから社会記号は面白い。
シニアがゲームセンターに増えていることを「定年退職しても仲間に会いたいから来ているんだ」なんて、自身の行動の目的を合理的に他人に説明できる人なんてめったにいない。
「定量は過去」すでにデータとしてあるものを調べても「過去はこうだった」と分かるだけ。「ママチャリがおしゃれになってほしい」などは、そのもののデータがあるわけではなく、複数のデータに表れていたとしても、その事実をどう捉えるかは人間しだい。
未知の欲望を発見する能力のある人は「欲望ハンター」と言える。小池百合子の「都民ファースト」や小泉純一郎の「郵政選挙」みたいに、複雑な社会情勢を一つのキーワードいn収れんさせていくのは問題がすり替えられている可能性が多々ある。それだけシンプルな言葉で世の中を切り取った背景では、何かが見えなくなっているんだろうと意識することは、社会記号との付き合い方として大事。
本書では「カロリー0」を例に挙げていたが、最近なら「糖質オフ」ブームになると世の中が二分化され、「リア充」に対する「非リア充」、「負け犬」に対する「勝ち組」。日本は社会記号が発生しやすい国。NHKと5つの民放キー局テレビ番組がほぼ全国で放送され、新聞も1位の全国紙は1000万部が読まれている。これだけ効率よく多くの人に情報を届けられる国は珍しく、多くの人が同じ概念を共有することが起こりやすい。
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欲望(ことば)(社会記号)とマーケティング(集英社新社)
著作者:嶋浩一郎
集英社
タイムライン
https://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
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社会記号、面白い。
世の中に広がっていく言葉は、社会的に需要がある言葉。言葉を通じて、理解されるようになる事象。
世の中の違和感に気づき、言葉にできるようになりたい。