オリンピックの身代金 上下合本版
著者 奥田 英朗
小生 東京オリンピックのカイサイをボウガイします--兄の死を契機に、社会の底辺ともいうべき過酷な労働現場を知った東大生・島崎国男。彼にとって、五輪開催に沸く東京は、富と繁...
オリンピックの身代金 上下合本版
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商品説明
小生 東京オリンピックのカイサイをボウガイします--
兄の死を契機に、社会の底辺ともいうべき過酷な労働現場を知った東大生・島崎国男。彼にとって、五輪開催に沸く東京は、富と繁栄を独占する諸悪の根源でしかなかった。
爆破テロをほのめかし、国家に挑んだ青年と、国家の名誉と警察の威信をかけて島崎逮捕に死力を尽くす捜査陣。行き詰まる攻防の行き着く先は?
『罪の轍』の落合昌夫が孤独なテロリスト島崎国男に挑む傑作長編。
第43回吉川英治文学賞受賞作。
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散りばめられた人間模様
2023/07/31 23:11
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ケイ - この投稿者のレビュー一覧を見る
秋田の小作農の子の東大院生が、兄の死を契機に兄と同じことをしないといけないように感じて東京オリンピックの施設整備の土木作業アルバイトをする。過酷な環境や底辺での差別、貧困の連鎖、一部の人間だけが享受する豊かさ、搾取に疑問を持ち、東京オリンピックを妨害へと突き進む。列車専門のスリは亡くした長男と重ねてか、行動を共にし、裏街道に生きる者としての知恵や人脈を活用して扶ける。「難しいこどはわがらね」くても東大院生と心が通い合っていたのではないか。それぞれがそれぞれの立場でプライドをかけ逞しく生きていた時代。物悲しくもイキイキと描かれている。長さを感じさせない面白さだった。
緻密なミステリー。面白かった!
2020/06/06 16:56
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:うっでー - この投稿者のレビュー一覧を見る
オリンピック開催往時の世相が非常によく書かれており、情景が目に浮かぶようだった。私が育ったのはそれからすでに20年程度経ったころだったが、当時の雰囲気を残しているところもあり、懐かしい気分に浸りながら読書を進めた。
ミステリーではあるが単なる謎解きではなく、当時の社会が(そして、現在の社会も)抱えている社会的問題を事件に照らして浮かび上がらせ、社会に対して課題を問う意味でも良著だと思える。
併せて、全編を読むと登場人物に無駄がなく、非常によく練られた構成だった。