わたしは灰猫
著者 青山繁晴
不安の時代に抗する、現代レジスタンス文学の誕生。エンタメと純文学の融合を実現した物語、肉体の躍動による命の奇蹟を文章で表現!未知の感染症によって、これまでにない不安の時代...
わたしは灰猫
商品説明
不安の時代に抗する、現代レジスタンス文学の誕生。
エンタメと純文学の融合を実現した物語、
肉体の躍動による命の奇蹟を文章で表現!
未知の感染症によって、これまでにない不安の時代が続いている。人間の命をめぐるその情況に、この物語は新しい鮮やかなカタルシス、新しい生き方を暗示する。
現代レジスタンス文学運動の始まりとも言うべき、運命の一作である。
実に18年4か月もの歳月をかけて熟成させた小説、それは伊達ではないことを感じさせる。
一字一句まで神経が行き渡り、人間から動物、昆虫、そして木々に草、苔までの命をとらえ、その死すべき運命にいかに抗するか、この永遠にして、もっとも根源的なテーマを、”謎”を追う緊迫した物語に乗せてつい強雨していく。
筆者は多様にして異色の経歴と活動のなかで、ノンフィクション作家として複数のベストセラーを持ち、今年度の「咢堂ブックオブザイヤー」を受賞している。純文学としてすでに「平成紀」(幻冬舎文庫、親本は2002年発行)を世に出し高い評価を受けた。小説の書き手としては、そこから満を持しての二作目であり、再出発となる。
「アラスカ育ちの若い女性咲音。山中でひとり暮らす老婆『灰猫』の謎。何年かに一度、出現する森の中の湖。青山さんが、こんなにみずみずしい感性を持ち続けていたことに驚く。コロナ時代の『復活』の書、清冽な水の音が聞こえるような小説だ」
『月刊Hanada』編集長・花田紀凱
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自分のルーツを考えた
2021/09/29 23:04
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Jiji - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本の自然と言葉の美しさを堪能しつつ、私が震災の時から、考え続けてきた死生観と日本人の精神の根っこについての疑問が今の感覚で語られていて、心を掴まれました。豪州で育った私の息子達の日本語はたどたどしいものの、きめ細やかな気遣い、精神の潔白、それから他文化の人種からすると、ほとんどエスパーのように受け止められる能力、つまり言葉や意味になる前の気配(フェノメナ)を共有する力といった日本魂を持っているのが私の誇りだ。ということを読みながら考えました。在外日本人の私も、灰猫と同じように隣人から、殺人者の孫娘として、野蛮な風習を持ち、得体の知れない、薄気味悪い研究開発をしている奴らとして謗られることが多々ありますが、その隣人たちが妙な憧憬と嫉みを抱いているのをも感じています。ここ最近の学問的な研究でも扱われるようになったスピリチュアリティは、そうした伝統とは完全に切り離されて育った人達が、付け焼き刃的に経験し、憧れと上っ面の知識で語っているものが多いので、最古の文明から最新の文明まで断絶せずに続いている稀有な本物である日本魂が果たす役割が、今後ますます重要だと信じています。近代産業革命を果敢に消化して一方的に搾取される構造を打破しようと戦ってきた日本人は、モラルとスピリチュアリズムを現代社会に再生させるための先鋭としても戦っていたのだということを今の実感として感していますが、そのことを書いて下さった青山先生に感謝します。