薬膳おむすび

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日々の体を整える季節のおむすび
春ー炒り卵とせり　あさりのつくだ煮としょうが　たけのこと桜えび　ふきみその萌芽米焼きおむすび
梅雨ー塩じゃけと白ごま　グリーンピースとハムと粉チーズ　そら豆とベーコン
夏ーうなぎと青唐辛子　あじの干物としば漬け　香味野菜入り肉みそ
秋ーれんこんとピーナッツ　きのことパセリ　ごぼうとくるみのみ
冬ーたらそぼろとかぶの葉　ひじきと油揚げ　甘栗とくるみとクコの実
不調を改善する体調別のおむすび：
冷え
便秘
胃腸の不調
食欲がないとき
肝機能アップ
高血圧予防
血行促進
貧血
ストレス
不眠
疲労回復
むくみ
ダイエット

概要:

本書は、日本の伝統食である「おむすび」を、薬膳の考え方に基づいて、季節や体調に合わせて食材を選ぶことで、より健康的な食生活を送るためのレシピを紹介するものです。日本人の主食である米を大切にする文化や、おむすびが携帯食として根付いてきた背景に触れつつ、薬膳の基本的な考え方である「気・血・水」のバランス、食材の持つ性質や効能を理解し、日々の食事に取り入れることの重要性を説いています。

主なテーマと重要なアイデア:

日本における米と「おむすび」の重要性:
日本は古くから「瑞穂の国」と呼ばれ、米作りを大切にしてきた。
湿度の高い気候風土の中で、米は日本人にとって非常に大事な穀類であり、主食としてだけでなく、農作業や旅のお供として「おむすび」にして食す伝統がある。
現代ではコンビニの定番商品としても広く浸透している。
薬膳の基本的な考え方：「気・血・水」のバランス:
薬膳では、体を構成する3つの要素として「気」「血」「水」があり、これらが連携して働き、体中をうまく巡っている状態が健康であると考える。
「気」は活動の原動力となるエネルギー、「血」は栄養、「水」は体内の水分を指すと考えられるが、本書内では詳細な定義は省略されている。
おむすびは、ごはん（エネルギー源）と具材（様々な効能を持つ）を手で握り一つにするという行為が、「連携してはたらく」という薬膳の考え方に通じると筆者は述べている。
「おむすびは具材とごはんを手でと にぎってひとつにする 『むすぶ』という動作がポイントです。薬膳で大事なのは、体を３つの要素、そして体の各 が『連携してはたらく』こと。」
食材の性質と効能:
どの食材にも体を温めたり冷やしたりする性質があり、エネルギー（気）や血を作り、巡らせるなど、様々な効能がある。
薬膳では、これらの食材の力を活用することが重要であり、具材選びのヒントとなる。
季節の食材（旬のもの）は、体がその時に必要としているもので、味も良く手軽に入手できるため、積極的に摂り入れるべきである。
「薬膳の基本のひとつが『旬のもの』を食べること。その季節に実るものは、体が必 要としているもので、味わいもよく手軽に手に入ります。季節感を味わうことで体だけでなく心も豊かにしてくれます。」
体調や季節に合わせたおむすびの提案:
夏は体を冷やす食材、冷え性の人は温める食材といったように、季節や体調に合わせて食材を組み合わせることが重要。
温めすぎたり冷やしすぎたりしないよう、バランスを整えることが大切である。
本書では、日々体調を整えるため、また季節ごとの体調の変化に対応するためのおむすびのレシピが、旬の食材とともに紹介されている（春、梅雨、夏、秋、冬）。
おむすびを薬膳にするポイント:
食材の旬を知る。
食材の性質（温性、涼性など）を知る。
体調や季節に合わせて食材を組み合わせる。
米の種類と効能:
白米だけでなく、玄米、胚芽米、もち米、黒米、赤米など、様々な種類の米があり、それぞれ性質や効能が異なる。
雑穀類（大麦、粟、はと麦など）も米と混ぜて炊くことで、効能が広がる。
例えば、玄米はビタミンB1や食物繊維が豊富で、便秘予防や疲労回復に良いとされる。もち米は温性で、体を温める力が強い。胚芽米は精白米よりも栄養価が高く、気を養う効果がある。
「米の種類にはさまざまな分け方があり、世界 で食べられている米は大きく 2 つに分けられます。ひとつはふだん私たちが食べている『ジャポニ カ種』。丸みがあってもちもちとした粘り気があります。もうひとつはタイ米などでおなじみの『イ ンディカ種』。細長く、パラパラとしています。」
「本 書では、精白米のほか玄米や黒米、さ まざまな雑穀ごはんも登場します。 のバリエー ションも豊かに。」
体調別の食材とレシピ:
疲労回復、食欲不振、冷え、高血圧、貧血、ストレス、不眠、風邪、胃腸の不調、むくみ、ダイエット、免疫力アップ、咳やのどの不調など、様々な体調の悩みに合わせた食材やレシピが紹介されている。
例えば、冷えには体を温める鮭やくるみを使ったおむすび、胃腸の不調には消化の良い鯛やゆずを使ったおむすびなどが提案されている。
おむすびを包むもの:
海苔だけでなく、青じそ、とろろ昆布、薄焼き卵など、様々な食材でおむすびを包むアイデアが紹介されている。
包むものにもそれぞれ効能があり（例：青じその殺菌効果）、味や見た目のアクセントにもなる。
食材の五性:
食材の持つ体を温めたり冷やしたりする性質として、熱性、温性、平性、涼性、寒性の五性が解説されている。
これらの性質を理解し、体調や季節に合わせて食材を選ぶことが重要である。
結論:

本書は、単なるおむすびのレシピ集ではなく、日本の食文化と薬膳の知恵を融合させ、日々の食事を通して健康的な生活を送るための具体的な指針を提供するものです。季節の食材を取り入れ、体調に合わせた具材を選ぶことで、おむすびがより体に優しく、美味しくなることを伝えています。巻末には、本書に登場する主な食材の性質一覧が掲載されており、読者が自身で食材を選ぶ際の参考になるよう工夫されています。植木氏の「効能豊かな食材をおむすびにしてご紹介する本書のレシピが、皆様の健やかな体づくりにお役に立てましたら、嬉しく思います。」という言葉からも、読者の健康を願う著者の想いが伝わってきます。