検証 ナチスは「良いこと」もしたのか? みんなのレビュー
- 小野寺拓也(著), 田野大輔(著)
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検証ナチスは「良いこと」もしたのか?
2023/08/09 22:24
「良い独裁」と「悪い独裁」?
13人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「兵士というもの」でレーマーとかいう質の低い「研究者」の「研究」を鵜呑みにした邦訳者が共著者なので買わなかったが、評判になっているというので買ってみた。
第1章は良くない。いわゆるナチズムの「定訳」だった「国家社会主義」とはソ連やDDRのような「国家権力が生産手段を国有化する社会主義体制を指す」そうだ。という事はソ連共産党やドイツ社会主義統一党は何なのか?かつて台湾で言われていたような「党国体制」が示すように独裁政党が国家権力と一体化したのは第三帝国も同じではないのか?
「国家社会主義」という訳語を批判する引用には「全体主義論でソ連共産主義と一括りにしたいという反共的な思惑とともに」だそうだが、これを書いた人は蒋介石が中華民国総統の地位に就いたのはヒトラーの真似事だと著書で書いていた。辛亥革命で孫文が臨時大総統に就き、北京政府時代は大総統が中華民国の元首の称号であり、中国語では「総統」は日本語の大統領などの訳語なので、文庫本では削除していた。これでは第三帝国は「悪い独裁」だが、ボリシェヴィキの独裁は「良い独裁」だと読めてしまう。
日本にはヒトラーの運動とは関わりなく国家社会主義という概念があるので区別する為に第三帝国のイデオロギーは「国民社会主義」と呼ぶのはいいと思うが、国民社会主義を「全体主義論でソ連共産主義と一括り」にして、どこが悪いのか?そうでないとヒトラーの収容所は「悪い収容所」でスターリンの収容所は「良い収容所」、ドイツ軍占領下の「飢餓政策」は「悪い収奪」でホロドモールは「良い収奪」、ドイツ軍に協力したウリヤーノフは「良い売国奴」でヴラーソフ将軍は「悪い売国奴」なのか?
ヒトラーと一緒に写真に映った少女の祖母がユダヤ人だという例を紹介しているが、同志スターリンが抱き上げた少女の父親が「人民の敵」だと「摘発」された例がある。
せっかく第三帝国の政策を「肯定する」向きに対して上手く反論しているのに、スターリンをヒトラーと比較されるような独裁者と見做されるからか、ボリシェヴィキ体制の擁護論が見え隠れしているのはダメだ。それなら「ソ同盟擁護論」など出さないで第三帝国のみを批判すればいい。それともこれは「兵士というもの」で披露したレーマー様のような研究者の受け売りなのか?
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