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戸越乱読堂さんのレビュー一覧

投稿者:戸越乱読堂

9 件中 1 件~ 9 件を表示
流れる星は生きている 改版6版

流れる星は生きている 改版6版

2003/05/20 13:48

流れる星は生きている改版6版

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 戦後すぐにこの本がベストセラーになったことは知識として知っていた。今回初めて読んでその理由が良く分った。戦争の悲惨さ、夫を残して女手一つで三人の子供を連れて大陸から連れ帰った記録、これだけで売れる要素は十分にある。しかし、感銘したのは感傷のかけらもない言わばハードボイルドな文体だ。「見栄」で戦地に残った夫や、逃避行をともにする人々、我が子(乳児である咲子は別にして)たちに対しても非情とも思える描写をしている。戦争を記録したノンフィクションは数多あるが、ここまで風景描写や心理描写を控えた作品には未だ出会ったことがなかった。

 背中に大きな穴があいたブラウスと膝から下を切り取った半パンツだけの幽鬼のような姿で帰国しているのだからメモなど取れたはずも無い。しかし、作者の描き出した事実は圧倒的な迫力で読者を取り込んでしまう。この作品の中には2曲の音楽が大変効果的に使われている。1曲は誰もが知っている曲、今一つはそうではないが、ある段階から未知の曲を含めた2曲が頭の中で鳴っていた。何の曲か? 読んでください。読んでよかったと必ず思える本だ。

 余談になるが、新田次郎と作者藤原ていの次男は数学者にしてエッセイストの藤原正彦だ。当時2歳だったが、我が子ながら随分な(もちろん愛情はある。事実があまりに悲惨なので仕方がない)描かれ方をしているのだがこの本を読んでどんな感想を持ったのだろうか。

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ノモンハンの夏

ノモンハンの夏

2003/06/04 17:56

「戦後」は永遠に終わらない

8人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

私は昭和天皇には戦争責任があると思う。しかし、この本を始め、先の大戦の戦記の類を読むと、意見を変えるつもりこそ無いが、ただただ「お気の毒」と同情したくなる。純粋培養された「点を取る技術」のみに長けたバカどもが懲りもせずにやりたい放題を繰り返し、無辜の兵士を、銃後の民を悲惨極まりない境遇に陥れているからだ。昭和天皇は立憲君主制の何たるかを理解し、必要以上の意見を政府に述べることは少なかったようだが、陸軍に対しては相当思い切った意見をし、時には叱責をして、可能な限り戦争を回避し、それが避けられない事態となり敗色が濃くなると講和のための方向づけをしている。しかしながら、その様なことは陸軍のバカどもには蛙の面に小便でしかなかった。「統帥権」を都合良く悪用し、「勅命」の名の下に部下である将兵を平気で死地に追いやる。連合軍はこのような連中を裁く機会を日本人から奪い、東京裁判では「連合軍に仇をなした者」を中心に裁き、「日本国民に仇をなした者」は敢えて裁かなかったのだと思う。この本の中で最高のヒールを演じている辻政信に至っては戦犯を逃れるために逃亡し、後に国会議員になっている。今からでも遅くないから、「日本国民に仇をなした者」たちを日本人の手で裁くべきだろう。そうでもしないと「戦後」は永遠に終わらない。

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餓死した英霊たち

餓死した英霊たち

2003/02/05 19:08

裁かれなかった戦争犯罪人

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

アメリカは賢かった。東京裁判で連合国及び第三国に対する戦争犯罪のみを裁き、日本及び日本人に対する戦争犯罪は問わなかったからだ。これで日本は骨抜きになったと思う。そして日本にとっての痛恨事は自らの手でそれら戦犯を裁かなかったことだ。ドイツではそれを行ったのだから日本に出来ないはずは無い。先の大戦での日本人戦没者は310万人でそのうち軍人、軍属などは230万人だが、その少なくとも半数は餓死であったとこの本は説いている。まず、ガダルカナル、インパール、レイテなどの実例を当事者の証言で明らかにし、後半では餓死の原因を1)補給無視の作戦計画、2)兵站無視の作戦指導、3)作戦参謀の独善横暴によるものとし、さらにこれらの原因が旧帝国陸海軍の特質による物だと断じている。曰く「天皇のために死ぬことを至上とする」人命軽視、「銃剣突撃が陸戦を制する」と言う時代錯誤の戦術観、輜重、経理(主計)、軍医部門への差別による全般的な生活環境の不備、「皇国思想」に基づいた「戦陣訓」に定められた捕虜禁止が軍民を巻き込んだ玉砕思想の強制である。さらにこれらを主導したのがほんの一握りの陸軍幼年学校、同士官学校、陸軍大学出身でドイツ留学または駐在経験者の一種のカルト集団だったことを軍の人事から立証している。12歳頃から軍に身を置きただでさえ視野狭窄に陥っている上に、相互扶助により重大な失敗をしても時を待たずに復活する彼らによりどれほどの兵士が無駄死にをさせられたことか。この本により「日本人は戦争経験を語らない」のではなく決して少なくない一級資料に目も向けず、分析すらしていないだけだと良く分かった。

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新・パリでお昼ごはん

新・パリでお昼ごはん

2003/06/18 15:05

毎度お世話になっています

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

大体年に一度パリに行きます。平均滞在は4、5日かな。その際に手放せない本です。と言うよりは行く前からこの本のページをあれこれめくってどの店に行くかを吟味した上で行きます。前作「パリでお昼ごはん」も含めて実際に足を運んだ店は10店以上あります。またこの本に掲載されているお店を探す副産物として発見したお店や観光名所ではないパリの見所もたくさんあります。手元にある「パリでお昼ごはん」はそろそろボロボロ、文庫化されたらとっても嬉しい。

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星々の舟

星々の舟

2003/06/19 18:48

村山由佳の旅路の途中

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

私はほとんど小説を読まない。村山由佳の作品を読むのは理由があってのことだが個人的な理由なので、ここでは省く。これまで村山は主として青少年向けの小説を書いてきた。これはこれで重要なジャンルだと思うし、その中で彼女は良くやってきたと思う。「青のフェルマータ」にせよ、「きみのためにできること」にせよ楽しく読みきることができた。「翼」辺りから世界を広げてもう少し上の世代を意識した、と言うよりは彼女自体の加齢のせいかもしれない。ただ、手法や構成などに大きな違いはなかったように思える。同時期に出版された「永遠」とこの本はこれまでの「青少年向け」から広い意味の「恋愛小説」に脱皮した物だと思う。どちらもこれまでの作品とは一味違う。この2作を読んで私は年老いてから読むに堪える「恋愛小説」を村山がこれから書いてくれるのではないかと期待した。

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粗忽拳銃 流々亭天馬

粗忽拳銃 流々亭天馬

2003/11/10 14:00

初期の都筑道夫を思わせる、テンポと諧謔

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「面白かった」著者にはこの言葉を贈りたい。古典落語の「粗忽長屋」と立川流家元の立川談志師匠の解釈による「主観長屋」をモチーフにしてよくぞこの物語をつむぎだしてくれた。読み終わって都筑道夫の初期の作品を思い出した。ストーリー展開に遊びがありとても粋だし、舞台転換もきびきびして飽きさせない。人物像もやや類型的と思えないことも無いが登場人物が実に生き生きしている。読み始めてすぐに主人公の「流々亭天馬」に「爆笑問題」の太田光を頭の中でキャスティングしてしまった。実際、映像化しても面白いと思うので誰か映画化してはくれないだろうか?
 

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探偵大杉栄の正月

探偵大杉栄の正月

2003/11/10 13:48

大杉栄は男の目から見てもセクシー

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

大杉栄を探偵に設えると言うアイデアに脱帽した。関東大震災のどさくさに暗殺された大杉栄は武道および語学の天才であったことは知られている。また、日本を密出国しフランスに渡り、パリでメーデイの集会に参加しフランス語でアジテーションをして逮捕されるなど日本の革命家の中で異色の存在だ。明治44年、「赤旗事件」で投獄されていなければ彼もまた大逆事件の冤罪で命を失っていたかもしれない。命拾いをした安堵感と、取り残された疎外感の間を彷徨う無政府主義者が金と女のために探偵を請け負い、みごとに事件を解決する。脇役としては荒幡寒村、神近市子などの「主義者」、石川啄木などの文人など著名人も多く登場する。ミステリーとしては謎が「浅い」がエンタテインメントとしては十分に楽しめた。歴史上、大杉栄が殺されるまではまだ10年ほどの時間がある。もう、一つ二つ事件を解決して欲しいものだ。できればそのうち一つくらいはフランス辺りを舞台にして。

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一海軍士官の太平洋戦争 等身大で語る戦争の真実

一海軍士官の太平洋戦争 等身大で語る戦争の真実

2003/05/22 11:58

伝説の軍艦、「戦艦長門」「駆逐艦雪風」「潜水艦イ400」を歴任

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 謎の沈没をした「長門」、奇跡の不沈艦「雪風」、巨大潜水艦「イ400」と並ぶと海軍マニアにはたまらない履歴でしょ。ノンフィクションなのでストーリー性はない(当たり前だ)が、ディテールが素晴らしい。任官後、山本五十六連合艦隊司令長官から「任官おめでとう」と声を掛けられたとか、ガダルカナルの撤収作戦で陸軍少将をそれと知らず怒鳴りつけたなどのエピソードは面白い。

 手記などを元に書かれたものでもなく、戦後相当の年月を経ての著書なので全体的に見れば断片的な記憶の羅列になっている。また、戦後は東大法学部に進み弁護士になり、青年法律化協会の設立に当たった方で(私も同様の立場に立つのだが)「自由主義的」「左翼的」な立場での意見も随所に見られる。

 史料として読んでいる私にとっては戦後に築き上げられた「立場」からの論述は少々困る。故意ではないにしてもバイアスが掛かっている可能性があるからだ。

 それらのことを差し引いてもこの本の中で紹介される江田島での訓練生活、「長門」のガンルームでの様子、「雪風」が参加したガダルカナル撤収作戦、コロンバンガラ沖夜戦の体験談は貴重な証言だと思う。

 太平洋戦争の戦記を大量に読んで行くと様々な書籍の中の断片的な記録から事実もしくはそれに近い物が忽然と浮かび上がってくることがある。これが、戦記読みの醍醐味だろうか。

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名人 志ん生、そして志ん朝

名人 志ん生、そして志ん朝

2003/01/26 01:15

名人志ん生、そして志ん朝

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

出版界ではこの様なことは常識なのだろうか? 小林信彦著「名人 志ん生、そして志ん朝」(朝日選書)を読んで違和感を覚えた。ごく最近読んだ記憶があったからだ。
調べてみると「コラムは誘う」(新潮文庫)と同一のコラムが出ていることに気づいた。重複しているコラムは「志ん朝の三夜連続1996」「同97」「同98」と「築地での志ん朝独演会」の4編だ。
ページ数で言えばこれら4編は「名人」では10%、「コラムは誘う」でも5%になる。
発行日は文庫が2003年1月1日、選書は同1月25日となっている。数年を置いているならともかくほとんど同時期の発売なのだから悪く言えば原稿の二重売りと言われても仕方が無いのではないだろうか?
また、選書の中の「梅雨の前の志ん朝独演会」「志ん朝の三夜連続1999」はともに中日新聞に連載されたコラムのようなので、いずれ新潮文庫に収められるであろうし、第4章の「夏目漱石と落語」は「小説世界のロビンソン」に収録されている。
実質的には「名人」はわずか70ページの書き下ろしに過ぎない。確かにこの本にはどこにも「書き下ろし」とは書いていない。しかし、「愛惜の思いをこめて、親子二代の落語家を論じる」と言う帯の惹句を見て80%が再録と思うだろうか?
小林信彦自信「コラムは誘う」の前書きで「落語については「名人」の中で「出版界は、目下、深刻な危機に遭遇している。編集者の方々の話では、本の売れなさかげんは大変なものだという」と書いているがこんなことをやっていてはそれに拍車をかけることになりはしないか。

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