死刑への第3の視点
2000/12/24 16:06
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投稿者:dakara - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本には死刑制度があります。死刑判決が出たり、実際に死刑が執行されるたびに、死刑の正当性が議論されます。
これまで、死刑の正当性、違法性に関しては、死刑囚の視点と被害者家族の視点というもっぱらふたつの視点から論議されてきました。
しかし、本書のタイトルからわかるように、実際に死刑を執行する側の視点から論議されたことはなかったように思います。
命令とはいえ、人の運命の幕を下ろさなければならない人たち、彼らはどのように死刑制度を考えているのか、また上からの命令と死刑囚のはざまで、何を考え(苦悩)ているのか、それがよく伝わってくる本です。
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どちらかというと私は死刑賛成派になるかもしれない。死刑制度は殺人と解釈される事あるけど、もし自分の家族や友人が殺されて 「罪を憎んで人を憎まず」と言えるかっていうと言えませんね。自分一人のではないけど収めている税金で、にくい相手を養ってるのって納得いかないと思うんだけど。憎しみからは何も生まれないって言うけどさ。ただ、執行人の立場になるとボタンを押せるかっていうと自信があまりないけど。灯りのスイッチ入れるような気軽さとは程遠い事だし、この本に書かれているようにすごく悩むと思う。
とっても考えさせられる本。
答えは出ないけどね。
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以前読んで、また読み返してみた。
日本では、死刑存続派の割合が高い(被害者側に立った意見として)。そして大抵の場合、大半の人は「死刑」という判決までしか知らない。「死刑執行」までの間のことなんて知らないし、知る術もないのが現実なのである。
「死刑執行」と言っても死刑囚が自ら命を絶つのではなく、国家による合法的な殺人を一公務員である刑務官らが、国家の命を受けて執行するのだ。何の恨みも辛みもない人間を殺さざるをえない刑務官の苦悩が、死刑になって当然と軽軽しく言ってしまう自分に衝撃として伝わる。
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国家公務員。ある日辞令が降りて、配属される。執行人は、死刑囚と同じように、当日の朝まで執行することを知らされない。その日は、他の仕事をする必要はなく、手当てをもらって帰る。日本の死刑の執行方法は絞首刑。首に縄を付ける場所がうまくないと、30分以上経っても死ねないこともある。なかなか死なない場合、執行人が手を下すこともあったという。現在は5つのスイッチがあって、5人の執行人が同時にスイッチを押す。その1つだけが実際に配線されていて、死刑囚の足元の床板を開ける。誰が執行したかわからないようにするためのしくみだそうだ。こんな職業もあるのですね…
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死刑制度にかかわらず世の中の色々な面を考えるきっかけを与えてくれた本。
基本的に私は死刑賛成派ですが・・。
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今まで死刑執行に関わったことのある人々へのインタビュー。
死刑確定までしか知ることのない一般の人にとっては、その後どうなったかを知ることができるという意味ではとても貴重な本だと思う。が、直接死刑に関わって苦悩する刑務官側からだけ見て、死刑制度反対をうったえられてもどこか問題違いのような。死刑が確定後、確かに生まれ変わったかのように見える行動をとる死刑囚もいるのかもしれない。だが、ただそれだけを見て、「こんなにいい奴なのになんで・・・」と言われても、被害者側からしたら、「はぁ!?」だと思うし。
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何の恨みもない人を殺す仕事に就いている人の苦しみ。
死刑廃止の是非を語るにはこういった点にも目を向けなければ。
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高校生の頃、父親にすすめられて読みました。
それから何度も読んだ。
初めて読んだときは、この本にかなり影響を受けて死刑反対だと強く感じました。
でも、今は何ともいえません。
確かに死刑を執行するという事は、一生を変える事かもしれないが、
業務に死刑執行が含まれる事を知っていて刑務官になるわけで。。。
かなり死刑制度反対派という立場で書かれた本で、その立場からの視線に立ちすぎているところはあるかもしれない。
でも、この本に書いてある事実は現実なんだと思う。
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死刑には反対です。
死刑賛成派や遺族の気持ちももっともだと思うけど、
まずこの本を読んで欲しいと思います。
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覚えてる度:★★★☆☆
うろ覚えで書きます。
著者が実際に死刑執行人をやっていた人たちに取材をし、その苦悩を一冊の本にしたのがこれ。
死刑囚はいつ自分が死刑になるか前日?まで知らされないらしいのですが、
これが実際かなりきついらしい。いつ死ぬかわからない恐怖に怯え続ける毎日。
あと、いざ死刑が執行されるって段階になると、いわば悟りを開いてしまう死刑囚もいるとか。
執行人からすれば、そうやってせっかく心から(実際わからないが)改心した人を殺してしまうのは本当に辛いらしい。
普通に一般社会で生きてる人にとっては、
死刑囚に対して抱く感情なんてほとんどが「死んで当たり前」に近いものだと思うけど、
毎日死刑囚と接している執行人から見ると、違った側面が出てくると。
もちろん、だから死刑を廃止しろなんて理屈にはならないけど、
物事をどの角度から見るか、どれほど広い角度から見るかというのは、
情報が錯乱する今の時代に生きる人間にとって大きな課題だと思う。
裁判員制度もはじまる(地裁・一審だけだけど)ことだし、良い機会と思って読んでみては。
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今度は死刑を執行する立場の人の話を読んでみました。
これによると、死刑執行のスイッチは数個あり、刑務官の負担を軽くするため誰が押したかわからないようになっているそうです。
死刑だ!ということは簡単ですが、それを実際行う人の気持ちはいかばかりだろうかと思いました。
でも私は死刑は・・・うーん。必要だと思う。
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人の命は地球より重い。
被害者、加害者ではなく死刑を執行しなければならない
刑務官の立場から死刑というものの現状を書いたものです。
仕事であっても人の命を奪うという行為は
計り知れない精神的苦痛を与えます。
人を殺したくて刑務官の仕事につく人なんているとは思いません。
本書には死刑執行人の痛々しい心情が綴られていました。
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死刑執行する刑務官の苦しみは家族にすら語られることがないらしく、
公になることはとても少ないと思うが、
この本では退役した刑務官から取材した証言が書かれていて、
それを読んでいるとこちらまで辛くなってくる。
刑務官も殺人を犯すことになってしまうのだから。
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犯罪者ひとりを絞首台に乗せること、死刑が執行されることには、誰でも関心を持つが、じゃあ、誰が死刑囚を「手にかける」かまでは考えないことが殆どなんだと、これを読んで感じた。
「死刑は国家による殺人」を理由に死刑廃止を声高に叫ぶ廃止論者ではなく、「もうひとを殺したくない」と言う死刑執行官のほうがよほど死刑廃止論に説得力を持たせられるのではないか。
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死刑賛成、反対を考える時、加害者や被害者、その家族のことは思っても、執行人の人のことは思ったことがなかった。どれだけの苦悩を抱えているのか考えることができた。少し古い本だったので、今はどういう状況になっているか気になる。