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投稿者:グランドマスター - この投稿者のレビュー一覧を見る
自由主義的(というか)放任主義的中国と封建的日本を比較しながら歴史を紐解く、良書。
個人的には聞いたことのない邦画から、『七人の侍』や『雨月物語』更には『イノセンス』まで駆使して象徴として解説するなどは好感がもてる。
ダイナミックな中国経済史においてどのようなグループが存在し影響力を持ったのか書かれていなかった点が残念。
牽強付会がすぎる本
2021/04/02 14:29
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投稿者:flow - この投稿者のレビュー一覧を見る
初めは面白かったが、読み進めるうちに著者は結論を先に決めた上でさまざまな歴史上の事柄をその結果に強引に当て嵌めて、持説を展開させているのだと感じた。日本の歴史は長いのだから、ストーリーを取捨選択すれば十分に作者の意図する結末に持っていくことができるでしょうね。
あと、「◯◯の専門家である私の先輩(友人)がそう言っていたから間違いではないだろう」というコメントが度々出てくるが、その人の著書や氏名を出すわけでもなく本当に専門家の間でその意見が多数派なのか疑わしい。
読者や歴史を趣味にしている人を無能同然だと煽るような文章も気になる。
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日本はまだ江戸時代だった⁈
西洋中心の歴史観から離れて、日本の歴史を新しいストーリーで書き換える試み。歴史ですが いまの日本社会を考える視点にも満ちている。
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ネオリベ化=「中国化」する社会のなかで、封建的=「再江戸化」する日本が、どう舵取りすべきかという内容。戦国時代&幕末好きは読まない方がいいかも(笑)
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知的におもしろいというのはこういう本を言うのだと思う。
中国化(郡県制・自由放任経済)と江戸化(封建制・統制的経済)という二分法で多数の教養を駆使しながら日本の歴史を解釈していく。
筆者の考えは、日本は何度も中国化する機会があったが、ことごとくそうはならず江戸化の方向に向かった、そして現在が長かった江戸化の終焉で、中国かせざるを得なくなってきていると説く。
読んでいて本当におもしろいが、やはり結果論的な後付の説明が多く、終盤の未来予想では「中華思想でいいじゃん、どうせフィクションなんだから」といった開き直りになってしまったのが残念なような気はする。
18世紀江戸時代の頃から「姥捨て山は偽の江戸、孫捨て江戸が真の江戸」の状態になっていたという指摘は、その後の現在にまでつながるシルバーデモクラシーの萌芽を指摘していて興味深かった。
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歴史観が変わったね。
司馬遼太郎読みすぎて、鎌倉、室町、江戸時代最高!日本って自由で多様的で、素敵。日本文化っていいよなあって思ってた。別に間違ってるわけではないけど。
ただ、中国が後進国という考えは間違いだったのだろう。
江戸時代の特徴は、封建制、身分制で自由はなく、権力者も相対的。
中国の近世、個人に自由があり、科挙があり、現代国家に必要なものが既にあったのだ。
どっちを選ぶかっていったら、中国かな。
今後の政治の動きは、この対立軸で見てみるのも面白いでしょうね。
中国に民主主義が根ざせない理由がわかった。
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昨年の小坂井敏晶『社会心理学講義』に引き続き、今年も人生観がひっくり返るような衝撃を社会科学の研究から受けることになった。輿那覇潤『中国化する日本』。
不惑を越えたというのに、これだけ揺さぶられるということを、まずは喜んでおきたい。
さて。本書の残念な点は、口が悪いこと。
タイトルもそれで損している。中身を読めば中国化とは何であって何でないかは書いてあるが、タイトルから受ける印象は「日本もこれから中国のように劣化する」とか、「中国に経済的に圧倒されその軍門に下ることになる」とか、粗雑な嫌韓反中本と変わらない。実際にはまったく違うのに。タイトルと口の悪さのせいで、本当に本書が読まれるべき人に届いていないように思えて残念。
その二つを乗り越えれば、知的刺激に充ち満ちた楽しい読書になること請け合い。本書のキーワードは、「中国化」と「江戸時代化」。歴史上の様々な出来事を、その二つのモーメントの揺れ動き押し引きという観点から見直すと、今までとまったく異なる様相を表す、という。
「中国化」というのは、今の言葉でいえば「グローバルスタンダード」「自由競争、市場主義、資本主義、小さな政府」「結果重視」「権威と権力の一致」。これが「中国化」とネーミングされているのは、宋の時代にすでに中国で実現していたから。
もう一つの「江戸時代化」は、逆に「古き良きニッポン」「護送船団方式、規制による保護、社会主義、大きな政府」「動機重視」「権威と権力の分離」。こちらが「江戸時代化」と呼ばれるのは、江戸時代に完成し頂点を極めたから。
「グローバルスタンダード」というと欧米流のやり方だと思ってしまうけど、そうではない、あれは欧米が中国化したのだ。それが近代化なのだ。
「なぜ中国は近代化に遅れ欧米列強の植民地になってしまったのか」というのは問いの立て方が間違っており、「なぜヨーロッパや日本が中国化に成功したのか」を問うべきだ。
明治維新は西欧化ではなく中国化だ。
という具合。
はじめは目を白黒させながら読んでいたが、ジャレド・ダイアモンド『銃、病原菌、鉄』を読んでもよくわからなかったモヤモヤ(の一部)が少し分かるようになった。
分からないのは、中国本国に働く揺り戻しのモーメント。日本の歴史を書いた本なのだからないものねだりではあるけれど、対比として、日本の江戸時代化の理由が「日本人は江戸時代のエートスが好きだから」では説得力に欠ける。本家の中国であっても生じる「反中国化」の理由を掘り起こして、それが日本の歴史でどう働いたのか、あるいは働かなかったのか、も書いて欲しかった。
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「中国化」を軸に日本の歴史を読み解き直す─これが筆者の目指すところ。
いわゆる「西欧化」と同じことが、約千年前に中国で起こっていた…なるほど。
日本では「中国化」と「(再)江戸化」の間で揺れ動き、今のところ「江戸化」優位な状況だが、世界の「中国化」の流れに対処できるのかについて、時代を追って考えた…とボブは読みました。
歴史認識はある方だと勝手に思ってましたが、ボブはオールドファッションな歴史学を学んでたんだなぁ、と痛感させられた一冊でした。
こんな本を書きたい…(u_u)
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最近、お気に入りの著者の本。
「中国」といっても最近のGNP2位の共産党支配の中国でなく、宋代に完成した自由経済/能力主義のことで、日本は幾度もこの体制に近づくチャンスがありながら江戸化=統制経済/封建制を繰り返し、21世紀の今また、「中国化」に抗いつつも近づいているというフレームワークが面白い。
平清盛、足利義満、織田信長、坂本龍馬と自由経済に変革するリーダーは時代時代にいたが、いずれも志なかばに終わっている。
今も岩盤規制を打ち壊すと、時の政権は勇ましいが、実はこの国は1000年の昔から自由で優勝劣敗がはっきりする社会なんて望んでないのかもしれない。
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「中国化」…。文庫化のタイミングが、このキナ臭い時節柄にピッタリ(?)だ。
もっとも、内容はしっかりしたグローバル・ヒストリーの学説に基づいている。
要するに「中国化」とは、極端な競争・格差社会になるというものだ。サッチャー主義やレーガノミクスと同義である。それを歴史的には、中国(宋)が先駆けて達成したから、その現象を著者は「中国化」と名付けたというわけだ。
世界は「中国化」する一方、日本は常に「江戸時代」に逆戻りしてしまうらしい。つまり、分権化による非競争社会を、日本人は求めているということになる。日本史上の異端児たちは皆、「中国化」を目指していた。そして失敗してきた。
「中国」と「江戸時代」を比べてみよう。
「中国」は、市場機能を最大限に発揮できるため、資源を効率的に使える。従って経済は好調だ。また能力がある人は、どんどん昇進できる。ジョブズみたいな天才が次々に現れるだろう。だが逆にいえば、そうでない人たちは大変だ。そのうち「1対99」の格差が生まれてしまうだろう。(本場のようなカクメイだってあるかも…!?)
「江戸時代」はその真逆だ。閉鎖的な市場ゆえ、資源の利用は非効率。能力があっても出世できない。技術革新も進まない。その代わり、少ない資源を分け合って、なんとかかんとか生きられる。弱者が死なない(抜け出せもしない)社会だ。
無論どちらにも、好いところと悪いところがある。困ったことに、筆者によると、両者の好いとこ取りはできないそうだ。しようとすると必ず機能不全になってしまうらしい。だから、放って置けば「中国化」するし、それが嫌なら「江戸時代」をとことん目指すしかないようだ。
ちなみに、本書の見応えは、筆者のギャグセンスでもある。本書をめくると、太字が目立つことに気づくだろう。そしてその部分は、必ずしも重要なことではないし、往往にして刺激的な文面である。わざわざ強調するのは、アンサイクロペディアでいうユーモア欠乏症患者(=ウィキペディアン)への皮肉なのかもしれない。本書が(娯楽として)楽しめるかどうかは、太字部分が楽しめるかどうかによって決まる(私は楽しめました)。
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タイトルからして「中国化する日本」という刺激的というか、読者の受けを狙ったような感じ。私もそのタイトルに惹かれて手にした一人ですが・・・
内容は面白いというか、従来の一般的な見方とは違う切り口で語る目新しさはあるが、そのことを、著者は今や先端歴史学では当たり前で、読者はバカじゃないかと言わんばかりの上から目線の論調と、論理展開の強引さが嫌になり、何度か中断し読了までに6ケ月もの時間が掛かった。
内容は日本の歴史は「中国化」vs「江戸化」という対立軸の歴史であり、今後はますます「中国化」するという主張で、どんなものでも、中国化と江戸化のどちらかに無理やり結びつけて、この見方は「さあ!どうだ!」という感じの押しつけがましいところが随所にある。
中国の宋の時代が中華文明の最爛熟期で、その時の制度・体制が究極のもので、そういう方向に行く事を本書では「中国化」と言っている。
簡単に言うと宋王朝は皇帝の権力を唯一絶対のものとし、それ以外は全て自由とした。つまり、身分制度を世界で初めてなくし皇帝だけの「小さな政府」、経済は「自由競争、市場主義、資本主義」・・・悪く言えば皇帝は自らの権力だけを求め、他はほったらかしで何もしなかった。その結果、今日の世界的潮流とも言える欲望剥き出しの弱肉強食の世界が、中国の宋の時代に出現した。
この本の中では、中国の影響を受けての「中国化」ではなく、単に(世界的な流れの)アナーキーな弱肉強食の時代に向かうことを無理やり「中国化」と言っているので、読む際には注意が必要だし、そういう流れを「中国化」と言う事に無理を感じる。
佐藤優は、もっと定義立てて、今の時代の流れを「新・帝国主義」と言っている。私としてはこちらの方がピンと来る。
もう一つの「江戸化」は、江戸時代に完成したと言われる「古き良きニッポン」。つまり、規制による保護、社会主義???。
この対立軸で、これまでの日本の歴史をひも解いて行く。そして世界史的に見て後進的でローカルな西洋のマネをしてきた日本はバカじゃないかと・・・著者は言う。
今の世の中では、当たり前のことを言っていては、知名度も上がらないし、学者としても売れないので、人目を惹く突飛な言動を弄して世間の注目を集めるという、まさに弱肉強食の時代を反映した本のような気がした。
但し、言っている内容そのものは面白い。
結果として、この本が売れているということは、著者の目論みは成功したのかも知れない。
2015.3.28 追記
司馬遼太郎と海音寺潮五郎の対談で、海音寺潮五郎が言っていました。
「学者というのは時々妙な論理を組み立てますね・・(略)・・なにか一つ思いつくと全部それで解釈しようとする。馬鹿の一つ覚えというやつですよ」
これまでモヤモヤしていたものが、一気に晴れたような気がしました。
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面白かった。
まずはタイトルを見て「『中国化』ってどういうこと?」ってなるけど、そのあたりは冒頭で説明されていて納得。ある意味「釣り」ですね(笑)
つまり、刺激的なタイトルだけど、その実、そこにイデオロギー的な意味はなく純粋に歴史の本。
感想を一言で済ませるのは難しいんだけど、とりあえず、大きく印象に残ったことだけ。
西洋の産業革命以前、中国が圧倒的に先進国であったというのは、中高で習った世界史の一般常識的には意外ではあったものの、かなり分かりやすく説明されていたので納得感がある。現代中国に関してふにおちる点も幾つかあり、なるほど、という感じ。
法の支配や基本的人権、議会制民主主義というのは、元々は西洋で中世貴族の既得権益だったという指摘(300頁)には膝を叩いた。特に中国が基本的人権に関して疎いのはそういうことかと。なるほどって感じ。
ともかく、これまで中国に対してぼんやり感じてきたことにディテールを与えるきっかけになりそうな本でした。
もう少しちゃんとまとめなきゃなぁ。
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【與那覇先生の日本史名講義! 文庫版附録・宇野常寛氏との特別対談!】中国が既に千年も前に辿りついた境地に、日本は抗いつつも近づいている。まったく新しい枠組みによって描かれる、新日本史!
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14/09/14読了
日本の近世史を、政治/社会面から、斯界の専門家の通説に基づいてまとめた書籍。
そうなんだ、がいたるところにあって、高校卒業後15年近く知識を改めないとはこういうことなんだろうか。著者曰く、いまの歴史教科書でも語られてはいないようだけれど。
西洋型の近代化は、貴族の既得権益を下位身分のものと分け合っていくプロセス(=基本的人権、議会制民主主義、法の支配)。平民、女性、移民…
これに対して、宋朝時代に特権階級をなくした中国ではこのプロセスが発生しなかった。
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鼻につく物言いは多いが、なかなかに興味深い本である。
江戸時代的構造と中国的構造の対立で
日本史を読み直すといった内容となっている。
政治と経済がワンセットにしたパッケージとして
江戸時代的構造と中国的構造があげられているが
はっきり言って、江戸時代的構造の不利は否めない。
いまだに日本がそれを引きずっているのは
そういう文化としてしっかり構築していたためで、
流出入が激しくなる現代において、足枷にしかなり得ない。
という訳で遅かれ早かれ中国化していくでしょう。