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「円熟した大人」とは?
ズバリ齋藤氏が常々著作で書いている事を
実践できる人です。
過去や現状にこだわらず、軽々と変化でき
る「シフトチェンジ力」を持つ。
腰と肚が据わった自然体で「身体感覚力」
を持つ。
いつも笑顔で「上機嫌力」を持つ。
雑談の重要性を理解している「大人のコミ
ュニケーション力」を持つ。
「塩梅」「相場」「中庸」をわきまえ、
「添う力」と「ずらす力」を持つ。
身体性を生かした「読書力」を持つ。
日本の伝統と日常感覚に基づいた「美意識
力」を持つ。
意思の裏付けられた「孤独力」と、あっけ
らかんとした「ing」の死生観を持つ。
これらを一気に身につける、そして理解で
きる一冊です。
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素晴らしい哲学書!
私はまだ60ではないが 20代の若者にもおすすめできる 人間としての必読書
著者 齋藤孝氏が文中で挙げる引用の多さに 一体これまでどれだけの本を読み 知識を獲得してきたのだろうと圧倒されるとともに これ1冊読むだけで獲得できる情報量の多さに お得感満載だとホクホクしてしまった
タイトルにある『円熟』という熟語に反応して図書館で借りた本
私は とうとう50代に入り 自分で熟女だと半分揶揄し 半分面白がって宣言しているのだが 熟すとはいかに!という観点が気になって手を伸ばした
若いうちは 人としてどう生きるかと考える時間はほぼなく 自分軸が大きく 広い視野を持たずに 狭い世界で日々楽しみ日々葛藤していた
今 様々な人生経験を積み 様々な読書経験を積み やっと人生とはなんぞやと 残りの人生どう生きようかと考える境地に至った
いいタイミングで この本に出会えたことに感謝するが
ほんとうに素晴らしい内容なので 若い人にも読んでほしい
若い人には 若いならでの捉え方があろうし 今後の生き方に少なからず良い影響を及ぼすに違いない本だからだ
まず タイトルの『円熟』だが 著者は次のように述べている
『円熟と成熟は違います。
成熟とは、技術や能力が上達して熟した状態のこと。円熟は成熟よりランクがひとつ上で、成熟に「人格」が加わったイメージです。仏教用語でたとえると、円熟は「完成の境地に至った如来」で、成熟は「如来を目指して修行中の菩薩」と言えるでしょう。』
(本文より)
おお!
「人格」か…と納得
では 熟女も 人格備えて熟した女性でなくては…と目標数値が上がる
とにかく 学びの多い本だけに 付箋だらけになったので 以下に本文より引用を挙げる
◯『死に方は生き方です。生き方は死に方です。死の考え方は生を鮮やかに照射します。』
◯『『東海道中膝栗毛』の作者十返舎一九の辞世の句の歌もユーモアにあふれています。
「この世をば どりゃおいとません香の 煙とともに灰左様なら(はいさようなら)」
また、勝海舟の最後の言葉は、「コレデ オシマイ」でした。』
◯『私の人格者のイメージは、ゆったりとした「隙」があり、カラリと明るく飄々(ひょうひょう)とし、しかも叡智のある人です。けっして難しいものではありません。』
◯『世の中が常に写り変わること(無常)は、どうすることもできない自然の摂理です。
無常という「大変化」を柔軟に受け入れて、寄り添いながらも、「小変化」を起こしながら、したたかに生き抜く必要があります。』
◯『上質な評価は一つの贈り物であり、将来何かを生み出す原動力になります。
ニーチェは「評価は創造である」と語っています。』
◯『孔子は「中庸の徳為る(たる)や、其れ(それ)至れるかな」(『論語』 齋藤孝訳 ちくま文庫)と、中庸のことを、実行は難しいが最高の徳だと称揚しています。』
◯『小林秀雄は「耳順」について面白い解釈をしています。「耳順」とは通常「60歳になってやっと人の話を素直に聞けるようになった」と解釈されており、人の話とは普通その内容や意味のことを指します。しかし、小林にとっては、人の話とはその人の「声」のことで、そこにはその人の人格のすべてが露わになっていると見るのです。
「誰もが同じ意味の言葉をしゃべるが、(中略)人間的な思想とはすなわちそれを言う調子である事を悟る……(『論語』 齋藤孝訳 ちくま文庫)なのです。
人の声には歌と同じように、その人の隠しきれない喜びや悲しみが刻印されて、人格として現れてきます。』
◯『古典の音読・暗誦は日本語の伝統という宝石を身体の奥深くに埋め込む作業です。』
◯『ニーチェ曰く「いっさいの書かれたもののうち、わたしはただ、血をもって書かれたもののみを愛する。……血と寸鉄の言で書く者は、読まれることを欲しない。そらんじられることを欲する。」(『ツァラトゥストラ』 手塚富雄訳 中央文庫)
◯『哲学者のアランは『幸福論』の中で「悲観主義は気分によるものであり、楽観主義(オプティミズム)は意思によるものである(『幸福論』 アラン 神谷幹夫訳 岩波文庫)と述べています。そうなると、不機嫌は悲観主義(=感情的)、上機嫌は楽観主義(=意思的)という分類になります。』
◯『上機嫌は大人の義務です。
会社員だったら重要な業務の一つでしょう。上機嫌な人には思った以上の幸運が集まってきます。』
※この言葉は一番印象深い言葉だった
やっぱり 誰でも不機嫌な人の近くにはいたくないだろうからね
上機嫌でいることが 円熟した大人の義務なわけだ
それも 感情で反応的に生きる人間でなく 意思的に生きる人間でありさえすれば上機嫌でいられるとなれば コントロールできるのは自分自身であり それができれば 自分も周りも雰囲気良く過ごせるのだから簡単だ
運転免許を取る勢いで 自分自身を操縦する術も若いうちから学ぶ方がいいと思った
もうちょっと 義務教育の国語の授業で孔子とかの暗誦に時間を費やしたらいいとも思う
我が子は 田舎の市立の保育園に通ったが 素晴らしい保育士の先生のもとで 一部論語を暗誦させてもらっていた
意味は人生経験積んだ後で分かれば十分だから 良いリズムと心地よい名文を幼少期から 身体に染み込ませてもらえて感謝している
◯『心身が硬い人は自然体ができていません。
自然体とは「柔軟な上半身」と「揺るぎない下半身」との二重構造(上虚下実)のことでした。』
◯『『死ぬ瞬間 死とその過程について』 (鈴木晶訳 中央文庫)の著者で医師のエリザベス・キューブラー・ロスは、死にゆく人々が死を受け入れていくプロセスは「否認→怒り→取引→抑鬱→受容」の5段階になると報告しています。彼らはいくつかの葛藤と「断言」を経て、ようやく死を受容することができ、安らかに旅立つのです。』
◯自己を見る自分の眼差しにはいつも、自分の中の「他者の視線」が含まれていることを忘れないでください。実在する「自分の外の他者」と内在化されている「自分の中の他者」を自己客観視にうまく有効活用するのです。』
◯『世阿弥は「離���の見(りけんのけん)」と言いました。自分が今 舞台で演じている能を、そこから離れた観客席でもう一人の自分が見ているように演じなさいという教えです。
「ふっきるように」思い切って自分から離れて、内外の他者の目を通して自分と対話すること。それが「自己客観視」の要諦です。』
◯『コミュニケーションは、言葉ではなく、まずは場によって起動されます。身体性や感情にひもづいた場が、コミュニケーションのゆくえを大きく握っているということをしっかりと押さえておいてください。』
◯『相槌に関しては、精神科医の神田橋條治氏の著書『追補 精神科医の面接のコツ』(神田橋條治 岩崎学術出版) には、数ある相槌の中で「ほう」が一番優れていると書かれています。
「ほう」を使うようになると、相手に対する好奇心、同情、同意などの非言語レベルの表現が上達することが述べられています。』
◯『曖昧に対する耐性が大きいのは、円熟した大人です。円熟した大人には、いわば「曖昧力」があります。複数の曖昧で矛盾した事柄に耐えながらうまく「丸める」能力です。』
※年齢を重ねると 世の中の多くのグレーゾーンをいかに許容しながら生きていくことが大切かを思い知らされる
全部を白か黒かで割り切ることができないのがこの世だ
世の多くはグレーの部分から成り立っており それに憤らず対応できる力をその都度求められる
この部分 まさに納得だ
円熟した大人とは 生きやすい方法を知っている大人だとも言えよう
◯『ある意味、人は本でできています。』
◯『数えきれないほどたくさんの本を読んできて、その内容をたくさん忘れてきたと思いますが、それでいいのです。本当の読書経験とは、頭の中ではなく暗黙知として、無意識の領域、身体の深部に収蔵されているからです。』
◯『私たちは、言葉の網の目で世界を見ています。
森羅万象に対してどのような切れ目を入れる(名前をつける)かで、世の中の見方が変わってきます。
心理学者の今井むつみ氏は『ことばと思考」(岩波文庫)の中で、日本語や英語には色の名前は11もあるが、パプア・ニューギニアのダニ族という部族の言語では2つしかなく、また、世界の119の言葉のうち、緑と青を区別する言語は30しかないということを述べています。』
◯『まずは中世から近世までの、能の世阿弥、茶の千利休、俳句の松尾芭蕉の3人。この3人はまさしく日本古典文化の王道の巨匠たちです。
3人の次は、近現代の美の追求者、九鬼周造と坂口安吾です。』
※文中に坂口安吾氏の『堕落論」からの引用があり、興味深く読んだ
有名でありながら 未読なのでいつか読みたいと思う
◯「かるみとは、その人の生き方を表す行動指針なのです。「不易流行、流行不易」という不易流行の原理を踏まえて、様々な別れと悲しみが満ちている重い現実を嘆かず、上機嫌で軽々と生きることが かるみの真髄なのです。』
なんとも付箋が多く付いたものだが まずこの本に出会えたこと自体が 私を上機嫌にさせてくれた
そしてまた このレビューを受けて どなたかがこの本を読まれ 上機嫌の輪が広がっていくことを願ってやまない
今日はこれから娘と昼食を食べる
そして図書館に行く
時間があれば お菓子を作る
それに休日の醍醐味のゴロゴロタイムを味わう
今日もたくさんの上機嫌を作る項目が私に備わっている
今日も いい日になる
嬉しい
感謝して過ごしたい
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タイトルに惹かれて手に取りました。いいパスを出す大人になるというフレーズが気に入りました。円熟した大人は他人のために生きている人ですね。