ミッシングリンク
2023/06/26 16:54
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る
父親との距離感や戦争の話しなど、自分自身の親子また祖父母との関係と重なる・共感できるエピソードもありました。
父と子を結ぶ物語
2022/11/12 15:15
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みつる - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルを見て気になり、読んでみました。
今では動物愛護法がありますが、
当時はそんなものはなく、
猫を棄てることは、とくに咎められたことではありませんでした。
そこから、村上春樹さんのお父様の昔話になり、
お父様も、実の両親から離されて、
寺に奉公に入ったことがわかります。
猫を棄てる行為は、お父様にとって、
自分が棄てられた時と何か重なる部分があったのでしょうか。
お父様が亡くなられてから書かれた本なので、
村上春樹さんが、当時の資料などをもとに、
父の痕跡を辿っていくのですが、
寡黙だった、お父様からの言葉を覚えている部分もあり、
親子の会話とは、少なくても記憶に残るものなのだな。
と感じさせてくれる、父と子の物語でした。
タイトルと、序盤に出てきた、棄てられた猫がどうなったかも、
ユーモアと、ほのかな暖かさがある結末が描かれています。
投稿元:
レビューを見る
【各紙誌で絶賛! 村上作品の原風景がここにある】村上春樹が自らのルーツを綴ったノンフィクション。中国で戦争を経験した父親の記憶を引き継いだ作家が父子の歴史と向き合う。
投稿元:
レビューを見る
図書館で借りて読了。
久しぶりに村上春樹の本を読んだ。
お父さんについての私的な話だけど、私たちが産まれたのは偶然が積み重なった…等というところまで淡々とかかれていた。
お父さんについての話も村上春樹が書くと深い。
投稿元:
レビューを見る
割と思想の相性がいいのでエッセイとか読んでも
すっと入ってくることが多い
最後の数ページ
それぞれ大事でかけがえのない個人なんだけど
でも代わりはいくらでも効くっていう事実と優しさを感じた
どうか偶然生まれた唯一無二なあなたを、代わりが効くもののために徒に消費しないでほしいという願い
4月の新刊が楽しみ
投稿元:
レビューを見る
村上春樹が父について語った本。
その父は、お寺の次男として、大正6年に生まれた。戦争の被害を一番に受けた世代。
そして息子が父に関して良く覚えていること、それは毎朝、小さなガラスケースに収められていた菩薩に向かって、長い時間お経を唱えていたこと。子供だった息子は尋ねる、誰のためにお経を唱えているのかと。仲間の兵隊や、当時は敵だった中国の亡くなった人たちのためだと。
そして、父はただ一度だけ、当時まだ小学校低学年だった息子に語った。自分の属する部隊が、捕虜の中国兵を処刑したことがあると。
戦争体験をほとんど語ることのなかった父が、なぜそのことを語ったのだろうか?息子に言い残し、伝えなくてはならない、〈引き継ぎ〉だったのではないか、と著者は推測する。
父と息子は、その後、20年以上も顔を合わせない疎遠状態になってしまった。90歳を迎えた父と60近くになった息子が、父の亡くなる少し前に顔を合わせる。それは和解のようなものだったと著者は言う。
戦争の影を背負った父の思い出、その始まりと終わりに、猫を巡る印象的なエピソードが語られる。
必ずしも親密とは言い難かった親子関係。それでも、いやそれだからこそかもしれない、亡き父について語ることとした著者。
淡々とした文章の奥に、いろいろな感情の揺らぎが感得される、そんな作品だった。
投稿元:
レビューを見る
久しぶりの村上春樹。とは言っても、1年半、その前とも同じくらいの間隔か。単行本が何冊か続けて出ていた記憶があるので、文庫化もしばらく続きが期待できるだろうか。本書は著者の父親との思い出を綴ったエッセイである。120ページくらいだが、1ページあたりの文字数は普通の半分くらいだろうし、自然に読んで1時間半そこそこだろうか。1年半待って1時間半はあまりにもつらいので、ゆっくり紅茶を飲みながら読ませていただいた。お父様は90歳を迎えられた10数年前、西陣の病院で亡くなられているそうだ。僕の父親は数年前、89歳でやはり西陣の近くの病院で亡くなっている。僕は父親との間に確執とかはなかったので2年近くの入院の間に何度も見舞いに行っている。直接の戦争体験もなかったようで、そういう話も聞いたことはなかった。著者はお父様と20年近く会っていない時期があったそうだ。まあしかし、海外に住んでいた期間に当たっているのだろうし、忙しくてそれどころではなかったというのが正直なところなのだろう。僕の想像だけれど、お父様はきっと最初は息子が自由人であることに抵抗があったかもしれないが、30歳で作家としてデビューされて、「ノルウェイの森」が売れたころからは、きっと自慢の息子になっていたことだろう。直接は伝えなかったかもしれないが、息子が書いたものは全部読むくらいのことをされていたのではないだろうか。国語の教師としては、生徒たちに村上春樹をどう紹介されていたのだろうか。それもまた興味深い。できれば、お葬式をどうされたのかとか、家のことをその後どうされたのかとか、2年前に96歳でご存命というお母様をどうされているのかとか、そういうこともちょっと聞いてみたい。うちは両親が相次いで亡くなったので、遺品の整理から実家の売却と1年ほどですべてが片付いてしまった。姉がいてくれたので協力しながらできて助かった。1人っ子の村上春樹はそういった実務的なことをどう処理されたのだろう。本書の雰囲気とは全く異なるのだけれど、そういうこともちょっと知ってみたい。それから戦争中にご両親が置かれた境遇、ほんの少しのずれで村上春樹という存在があり得なかったかもしれないということ、しかしながら、2人は出会い、子どもが生まれ、作家村上春樹の作品が世界中の人々に読まれているという事実、これはもう起こるべくして起こったというしかない。お父様との関係も含めて村上春樹が作り上げられていったわけだから、もう何だかわからないけれど、感謝の気持ちでいっぱいだ。同時代にいてくれてありがとう。こんなに影響を受けている作家は他にいないのだから。
投稿元:
レビューを見る
村上春樹が父親の記憶を辿る。
それは悲惨な戦争の一部分を記したものであったし、
春樹氏の父の思い出であったし、
それらの記憶にそっと温もりを添える猫の思い出でもあった。
これらの事を丁寧に思い返し、調べ、文章の形にするには、辛さを伴う作業であったと思う。
親の歴史を辿るには、自分にとって蓋をしたはずの楽しくない思い出と向き合う事も必要だったであろうから。
本書を最初に目にした時は、あまり好きなタイプの表紙・挿し絵ではなかった。
けれど読み進めるにつれ、温かく、どこか懐かしいガオイエンさんの絵が、しっくりとはまっていくのを感じた。
村上春樹本人もあとがきで、彼女の絵には不思議な懐かしさを感じると述べている。
私事だが、今年の夏は父親という存在について考えさせられる年だった。
パートナーのお父様が亡くなった。
私の父は大きな手術を受けた。
これまでの「普通」が失われてしまった。
だけど私達はこれからも生きてゆくので、これからは今の形が普通の日常になってゆく。
そんな事もあってか、「猫を捨てる」をしみじみと読んだ。
父と母が出会い、そして生まれてきた一人の息子としての村上春樹。
素の彼がそこに居た。
「ここに書かれているのは個人的な物語であると同時に、僕の暮らす世界全体を作り上げている大きな物語の一部でもある」と言う。
世界的に有名な物書きであることが、お父様の歴史を辿るのにプラスに働いたことも多いだろう。
だけど私は、普通の暮らしを送る何者でもない私だ。
父が健在であるうちに、母が健在であるうちに、共に時間を過ごし、もっと話をし、私の暮らす世界を作り上げている物語を知ろうと思った。
投稿元:
レビューを見る
結果は起因をあっさりと飲み込み、無力化していく。とはどういうことだろう。垂直に降りていくことの難しさとは。当然、時間は不可逆である。
投稿元:
レビューを見る
村上春樹さんとそのお父さんのお話。
戦争を経験された年代。
わたしの祖父母と同じくらいかなと思いながら読み進めた。
淡々と、とても落ち着いた文章。
わたしも、両親が元気なうちに色々と話をする必要がありそうだ。
投稿元:
レビューを見る
表紙とタイトルが目に留まり、手に取ったら村上春樹さん。
初めて読んだけど、こういった文章を書かれる方なんだなと。
読んでみて、自分のルーツについても思わず考えました。戦争の影響を受けずに今生きている人はいるのだろうか、と思うくらい多くの人に影響をもたらしたものなのではないだろうか。
今の関係がどうであれ、1つの共有体験がある感覚というのはよくわかる。
他者と全てを共有できる訳ではないという寂しさも抱きつつ、やはり自分の胸の内を最大限知っているのは自分なのだという考えが過った。
その少しの思い出を大切にしたり、もっと時間を共有したいと思うのは本当に尊いなと。
また、大江さん、西田さんのエピソードが印象に強く残った。
歴史も学ぶべきこともその時間の分膨大ではあるけれど、少しでも知ろうとする気持ちが大切だと改めて感じた。
投稿元:
レビューを見る
結果は起因をあっさりと呑み込み、無力化していく
この言葉めちゃめちゃグッサリくるな〜
家族は切っても切れない、どこにも普通の家庭なんてないんだなと改めて思う。
まだ村上春樹さんの本を読んだことがなかったので、はやく読んでみたいと思います。
投稿元:
レビューを見る
村上春樹が自分の父について、父から直接聞いた話や自分で調べたことを元に回想する。
父の話はずっと書きたかったが、冒頭の猫のエピソードを入れることでようやく書けるようになったらしい。父を、軋轢がありながらも尊敬していたことがよく分かる。
投稿元:
レビューを見る
久しぶりに村上春樹を読んだ。
村上春樹の小説も好きだけど、こういう私的な話が好き。
父にもっと父の人生の話を聞けばよかったなあ、聞きたいなあと切に思う。
投稿元:
レビューを見る
父と一緒に猫を棄てる話を起点に、父との思い出話を語る作品。働き始めてからは、あまり父との関係は良くなかったとのこと。なんか村上春樹っぽい。
久しぶりに村上文体に触れ、また村上作品を読みたくなった。