現在の不況との共通点,相違点がよくわかる
2008/11/03 10:59
6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
現在のアメリカ経済の状況は 1929 年ごろの状況に似ているといわれる. 1929 年にニューヨークで株価が暴落し,大恐慌につながったということはよく知られているが,それがどのようにおこったのかはあまり知られていない. この本はそれを時間にそって追い,なにがまちがっていたためにどうなったのかを検証しようとしている.
不動産の問題が最初におこった点では現在の不況と似ているが,このときはそれは 1928 年までには収束し,その後,レバレッジをきかせた投資信託の過熱がおこっている. 現在の不況とはさまざまなちがいがあるので,この本を読んだからといって現在の不況にどう対処すればよいかがわかるとはいえないだろう. しかし,それでも状況を比較してみる価値はあるだろう.
ひとつ興味をひいたちがいは,当時はコンピュータがなかったので,取引量がふえると処理がまにあわず,速報が何時間もおくれて人々の不安をかりたてる,また取引じたいもまちがいがふえるということだ. 現在ではコンピュータのおかげで状況がすぐにわかるので,すくなくとも株価に関してはまちがいやデマにふりまわされなくなったのは,おおきなちがいだろう.
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:撫子の丘 - この投稿者のレビュー一覧を見る
投機バブルのパターンを感じることができます。
どんなバブルでも生成・豊穣・破裂があるんですね。
バブル崩壊後だけではなく、崩壊前こそ読んでおきたいですね。
投稿元:
レビューを見る
構成は散漫でわかりくい感じがするが、投資信託(といっても日本のそれとは違い、J−REITなどの投資法人に近い)によるレバレッジがバブルを加速させ、それの破裂により市場が壊滅した状況は、今回のサブプライムに端を発した現在の状況とよく似ている。
著者はその後の大恐慌は、世間の無気力がそれを深化させたと語っているが、今回の状況を解決するにあたり人類は歴史に学んだ行動を取れるのだろうか。これは、時が経たないとわからない...、が速く立ち直ってくれないと。
最後に、Sir. John Templetonの有名な言葉を個人的に書きたくなった。
Bull Markets are Born on Pessimism
Grow on Skepticism
Mature on Optimism
and Die on Euphoria
投稿元:
レビューを見る
この本、実は1955年に出版!
バブル崩壊、株価暴落のあとに必ず読まれる、恐慌論の名著。
1929年の大暴落、その後の世界恐慌につながるアメリカの
バブル当時の話が、客観的に描かれている。
世界が金融危機で揺れている今、将来は予測可能ですか?
投稿元:
レビューを見る
会社型投資信託のブーム、レバレッジ効果、バブル紳士の跋扈、動きの鈍いFRB…。今も昔も変わらない人間の織り成すバブル崩壊劇を活写した、異端の経済学者による恐慌論の名著。(TRC MARCより)
投稿元:
レビューを見る
1929年の大暴落前の楽観論が徐々に悲観的に変わるまでの世の中の声を丁寧に記載していて、読みやすい一冊。前回の大暴落は、株価が3年間下がり続け、生産指標が暴落前にもどるのに10年かかったようで、それをどこか頭の片隅におきたい。
投稿元:
レビューを見る
1929年の大恐慌の時に証券市場で何が起こっていたかを検証した本。証券バブルの発生とそれを止めようとしない/止められない当局の姿など、90年代のバブル崩壊や今回の金融危機との共通項を見つけるのはたやすいけれど、何よりも帯に書かれている「株価暴落のあとに読まれる」という一文が全てを物語っているのではないかと。この本は株価暴落の「前に」読まないと何の意味もないのですよ!コトが起こったあとにようやく「これって1929年のアレに似てない?」とこういう本を読んでしまうということが、つまりは、僕たちが歴史から何も学んでいないということを学ぶことなのではないかと。
投稿元:
レビューを見る
わりと有名な、世界大恐慌についての本。
あの恐慌の当時、人々はどう考え、どう行動し、そして崩れていったのかをきちんと書いています。
なんでもこの本、不況になるたびに売れるらしくって本屋に平積みしてありました。
まあ自分もそれに釣られて買っちゃったわけですが、読んでみて納得。これを今読むことには十分な意味があると思います。
なんせこの本に書かれた状況が、今起こってることとそっくりだもの。
わけもわからないまま暴落する株価。ひたすら「実体経済に影響はない」といい続ける専門家。必死に買い支えようとする銀行。etcxetc...。
当時とは色々な条件が違う、と専門家は言いますし、確かに同じなわけないんですけど結果起こってる事態にはかなりの共通点があります。
ここからどうなるのか、それはまだわからないですけど、少なくともこれ読んで過去に学んでみるのも悪くはないんじゃないでしょうか。
投稿元:
レビューを見る
大恐慌について、深く述べられた本です。
金融危機の現在、どうするか、どうなるのかを考えさせられます。
おすすめ。
投稿元:
レビューを見る
おすすめ度:90点
1954年初版。
帯には「バブル崩壊、株価暴落のあとに必ず読まれる、恐慌論の名著。」とあります。
崩壊劇を活写。一気に読めました。
現在とデジャブ。
登場人物の当時の投資信託が現代のヘッジファンド。レバレッジを効かしていたことも同じ。
当初は強気一辺倒の学者やマスコミ、楽観的な発言が多かったことや時間軸が非常に似かよっていることにも驚きです。
何ら決定できない頻繁に開かれる重要そうな会議は、現在のG7,G20に重ねられるのでしょうか。
今も昔も変わらぬことがわかります。
今日まで、その経緯とチャートが相似形。
変わっていることは、バーナンキを始めとするFRBの対応の迅速さ。
新興国をも巻き込んだ国際経済の拡がりと各国の協調体制。
大暴落後に大恐慌へ突き進んでいった理由も明確。所得格差が生じていたということ。
金融危機をきっかけとして、実経済に徐々に影響を及ぼしつつある今、我々は大恐慌への道を歩んでいるのか。
1929年の大暴落よりもむしろ、その後の方が数倍もはるかに大きい暴落であったという事実。
とすると、2009年以降にも2008年に起こった大暴落の数倍大きい大暴落が、我々を待ち受けていることになります。
投稿元:
レビューを見る
帯には、「バブル崩壊、株価暴落のあとに必ず読まれる、恐慌論の名著。」と書かれています。「あとに」というところが悲しいところで、人はなかなか歴史に学べない。この本で中心的に扱っているのは、大恐慌ではなく、大暴落、つまりウォール街で何が起こったのか、です。1929年の大暴落は、どのような背景の下に、どのような経緯を辿って起こったのか。感情論を排した観点から、克明に歴史を追っていきます。
目次:
-夢見る投資家
-当局の立場
-ゴールドマン・サックス登場
-夢の終わり
-大暴落
-事態の悪化
-暴落後の日々1
-暴落後の日々2
-原因と結果
鋭い考察が随所に織り込まれています。大暴落、大恐慌がなぜ起きたのか、それは再び起こるのか、という分析は最終章で扱われていて、定説とその妥当性が分析されています。
投稿元:
レビューを見る
『一九九七年版まえがき』
・最初は値上がりから始まる.株でも不動産でも美術品でも何でもいい.すると世間が注目し,買い手が群がる.買う行為そのものが価格を押し上げ,値上がり期待を現実にする.そしてある日,終わりがやってくる.
・私が言いたいのは,チューリップ・バブルに始まり,この現象は何度と無く繰り返されてきたということだけだ.
『第1章 夢見る投資家』
『第2章 当局の立場』
『第3章 ゴールドマン・サックス登場』
『第4章 夢の終わり』
『第5章 大暴落』
『第6章 事態の悪化』
『第7章 暴落後の日々1』
『第8章 暴落後の日々2』
『第9章 原因と結果』
・大暴落はそれに先立つ投機ブームの中で育まれるが,なぜあのような狂乱ブームが起きたのかはわかっていない.金利や信用供給があっても投機ブームが起きなかった時代もある.それらより重要な役割を果たしたのは,時代の空気である.楽天的でゆるぎない自信.誰も自分に不利や不正は働かないという信頼.貯金が潤沢.
投稿元:
レビューを見る
のど元過ぎれば熱さを忘れ、歴史は繰り返される。著者が第9章で述べたことは、近年起きたことを思い起こさせる。
投稿元:
レビューを見る
アメリカの大恐慌の流れを追った本。
「暗黒の木曜日」に株価大暴落、というだけのシンプルな流れではなく、様々な人の心理によって動くリアルな市場をここに見ることができる。
バブルが全く認識されていないわけではない。それでも止まらない投機ブームとその崩壊という過程は非常に興味深い。
投稿元:
レビューを見る
市場があやしい雲行きになったときの常套句、すなわち「経済は基本的には健全である」とか「ファンダメンタルズは問題ない」というものだ。この台詞を聞かされたら、何かがうまくいっていないと考える方がいい。
そもそも人間は知っていることばかり話すのでもなければ、知らないことばかり話すのでもなく、知っているつもりだが実は知らないことを話すことが多い。
「夢を失ってはいけない。夢が無くても死にはしないが、もう生きてはいない」マーク・トウェイン
予言を外した予言者は惨めである。外した理由を説明したくとも、その大事な瞬間にもはや聴衆はいない。
人間は確信が持てないときほど独断的になりやすい。
自社株買い>1929年>自分で自分を騙す