様々なネット怪談が登場します。
2025/03/21 17:07
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投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネットで話題になった様々な怪談を取り上げ、著者が専門の民俗学を用いて学術的に分析したのを書籍にした1冊です。
怪談マニアでなくても聞いたことのある様々なネット怪談のタイトルが、文中に多数登場します。個人的には、もっと多くのネット怪談のストーリーを当書で改めて紹介した方が、より多くの読者の方々が楽しめるのではないかと思いました。
なお、当書ではネット怪談の実際の画面の画像がいくらか掲載されています。中には、初めて不意打ちに見るとビックリする怖い画像も掲載されているので、苦手な方は頁をめくる際にお気を付けてください。
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投稿者:けいちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
うわさ話、口頭伝承などの切り口で怪談を扱った研究は多くあり、その中の一環としてネット怪談に触れたものもあったが、ネット怪談を切り口として社会背景や、ネット怪談自体を研究分析したものは、今までにはなかったように思う。
ネット怪談の内容を知らなくても、解説も書いてくれているので、とても親切です。
怪談の索引もあるので、名前だけ聞いて内容を知らないネット怪談の辞書としても使えます。
本書を読むと、インターネットの歴史とともに、ネット怪談も進化・変化していっていることがよく分かります。
動画やAIなど、新しい時代のネット怪談も出てきており、これからのネット怪談の進化・変化が楽しみになります。
ネット独特の進化を遂げる怪談
2024/11/24 19:37
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投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネット怪談の始まりから変遷を辿り、民俗学的な分析を試みた内容。きさらぎ駅、スレンダーマン、八尺様、コトリバコ、くねくね、杉沢村、犬鳴村、異世界もの、NNN臨時放送、バックルーム等々。私は怪談好きですが、これらのネット怪談は全く知りませんでした。不特定多数による怪談の共同構築、実況、映像とのコラボといったネット独特の進化を遂げる怪談。「恐怖」に加え、「不穏さ」を中核とし、今や恐怖に物語は必要ないという段階にまで到達。これが今後はどのように変化していくのでしょうか?
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投稿者:6EQUJ5 - この投稿者のレビュー一覧を見る
かつて「学校」の怪談が流行りましたが、現在の不思議な話の繁殖の場はネットです。
考察として興味深いのですが、登場する様々な話題を既知のものとして展開する(例えば私の場合「きさらぎ駅」は映画も見ましたが、「Ong's Hat」は知らなかった)とか、同じような内容を繰り返している感じがして、ちょっと読みにくい。
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ブログや2ちゃんねる発のホラーを民俗学視点で考察。ネット怪談は類書があまりなく本書が1つの指針となる事は間違いありません。新書ですが巻末に出典が詳しく記述されている点も嬉しい。2ちゃんねるホラーや都市伝説に興味がある方はぜひとも読んで欲しい好著です。
民俗学の研究者である筆者は「コトリバコ」を卒論の題材にするくらいネット怪談に強い関心があり、周縁のホラーもかなり読み込んでいる事が分かります。私も一時期洒落怖の代表作はほぼ読み、2ちゃんの怖い話も大体を網羅していたつもりですが、その端緒は知らなかったため非常に楽しく読めました。
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2000年代のきさらぎ駅を2ちゃんのまとめで知っていたから、2020年代にその名前を見たときは懐かしいと同時になんで?と思ったのだけど、ネットでできることが増えてくるとこうやってリバイバルすることがあるんだ。
懐かしいネット怪談の話と、しばらく離れていたために抜け落ちていて知らなかったネット怪談の部分が両方楽しめて面白かった。
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#読了
2024/11/30
ネット怪談の民俗学/廣田龍平
卒論で洒落怖書いたんですが、その時は都市伝説で「都会の怪談」をやっているのに対し、ネット怪談では「田舎の怪談」が多い。昔は都会が怖かったが、都会が増えるにつれ田舎の方が未知の存在になった。と考察した記憶があります。
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昔からネット怪談は見てきたものの、知らないエピソードも多かった。その都度調べながら本書を読み進めていたため読了まで時間がかかり非常に読み応えがあった。
民俗学としての要素も分かりやすくしっかり解説されてたため、一つの文化をより専門店に学べた。
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2024-10-29
2ちゃんもニコ生もライトユーザーなので、取り上げられている事象はほぼ後追いで知った。リアタイだったのはバックルームくらいかな。
その背景より成立過程に注目した論考が面白い。思えば子供の頃の口裂け女や花子さんも似たような過程を経て成立したように思う。学校の授業で「お化けはいないポスター」を書いたりしたなあ。
ネットの発達により、その広さと速さが爆上がりしたのは確か。
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ネット上で語られる怖い話 = ネット怪談について、2000年代初頭から2chオカルト板を閲覧、10年代はTwitter(X)、20年代はTikTok〜と、ある種の「フィールドワーク」としてオカルト界隈を観測してきた筆者が民俗学的な見地から考える。
本書で扱われるネット怪談は「きさらぎ駅」「くねくね」「コトリバコ」「ヒサルキ」等。「クリーピーパスタ」と呼ばれる国外のものまで扱う。中身についての詳細は語られないため、予めまとめサイトやwikiを別で参照した方がいいかもしれない。
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ネット怪談について、民俗学的視点から研究・解説している本。
くねくね、きさらぎ駅、リアルなど、まとめサイトでネット怪談に親しんでいた世代で、懐かしい話題も多く、またそういった怪談が生まれた経緯や起源をしることができてとても興味深かった。洒落怖のような文化が廃れていって寂しく感じてもいたが、形を変え現代のネット文化にも脈々と受け継がれているというのも目から鱗。
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くねくね、きさらぎ駅、コトリバコといった題材が、どのように育まれて語り手不詳の"怪談"となったかを民俗学の用語で分析する。キーワードは「共同構築」と「オステンション(やってみた)」、そして「再媒介化」。これらが論じられる1章・4章・6章が特に面白かった。
まとめサイトや切り抜き動画による再媒介化で出自に関する文脈が消去されかえってフィクション性が失われる(本当にあったことかもしれないと思ってしまう)という指摘はなるほどと思ったし、そうやってネット怪談がデータベース化していくことで不安が閾値に到達した人たちの存在も、今のネットホラーブーム(明確な語り手があるナラティブなもの)が支持されている要因なのかなと思った。
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評論文って自分が興味あるテーマだとこんなに面白いんだなと気付かせてくれた一冊。ネットの怖い話はだいぶ知ってると思ってたけど割と知らない話が多く出てきたので、それを調べて読むことでより一層楽しめるかも。「8番出口」「近畿地方のある場所について」「行方不明展」など最新の話題も取り入れていて「おお」となった。
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1990年代から2020年代の現在にかけてのインターネット上に流布する怪談=ネット怪談を民俗学的な立場から俯瞰的に総括した本。
民俗学に限った話ではないけれど、「怪談」を扱う場合、基本的に日本ローカルであったり、語りにしろ文書にしろ言葉に記されたもの偏重(精々取り上げられても漫画や映画ぐらい)という印象であったが、本書ではクリーピーパスタをはじめとした英語圏におけるネット怪談の現状や、「The Backrooms」やInstagramやTikTokで流布されているような奇妙で不気味な画像や動画といった伝統的な「怪談」とは異なる共有される「恐怖」イメージや、フィクションに出自を持ちながらネット上に拡散される過程でフィクションとそうでないものとの境界があやふやになってしまっているようなものまで取り上げられている話題は幅広く、出典を辿りにくいネットの情報にも関わらず調査は丁寧。現時点で「ネット怪談」を知る上でもっとも適した本であることは間違いない。
一つ気になったのはインターネット上の事象を民俗学が扱う場合の「語り手」の存在についてで、この本はとても良く調べてあるけれどあくまでそれはネット上に現れた情報の履歴や伝播についてであって、その情報をネットに上げた人物についてはほとんど触れられることがない。まぁ、匿名掲示板への投稿者など実際には特定不能だから仕方がないのだろうけど、従来の民俗学における「民話」や「伝承」の採集においてそれを誰が語ったのか、語り手の存在は大きい。しかし、従来の民俗学が相手にしてきたローカルな社会ではない、インターネットのような広大で不特定多数の匿名の誰かによって構成される世界において語られる話、作られる文化における「語り手」の存在とはどのような意味を持つのだろうか?
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面白い。30代前後のいわゆるインターネット老人界隈にはぶっ刺さる本。かつて見てきたネット怪談やホラーコンテンツを民俗学における文脈で読み解いていく本であり、以下にここ最近のネットやSNSの発達が人類社会において劇的な変化だったかと認識する同時に、ホラーを追い求める人々の姿勢は変わらないことをしれた。ある種 20年代までのネットホラー大全本的な趣もあり、手元においておきたい一冊。