包帯クラブ、世界へ。
2022/03/20 17:31
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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
「包帯クラブ」続編。様々な理由で傷ついた人々の、世界中に溢れた悲しみは、ひとつひとつ手当をすることは難しいけれど、できる限り手を尽くそうとする包帯クラブの面々が、世界に羽ばたき、その役割を担おうとする。人の助けを求めることは弱さではない。自分が弱い存在であることを認め、ほかの人と協力し合うことのできる、勇気ある人の行為である。包帯を巻くことにより、傷の存在を外に向かって知らせう。そして傷が人に知らせると、変化が生じる可能性がある。人は、必要に応じて助けを求める勇気を持たなければならない。
あの時の少年少女たちと
2022/12/06 07:05
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
大人になって再会を果たせたような気持ちになりました。それぞれが歩んだ道は別々でも、傷ついた心と身体をそっと包み込むような語り口は変わっていません。
わたしはここにいる
2022/05/29 18:12
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投稿者:GORI - この投稿者のレビュー一覧を見る
幸せな気持ちが溢れるような読後感。
傷ついた人を癒やして気づいてあげられるように、街のその場所に包帯を巻いてあげる。
そんな活動は良くないこととして禁止されてしまったけど、活動は世界中に広がり「包帯クラブ」が出来上がった。
助けを求めたら包帯クラブの近くにいるメンバーが駆けつける。
ひとりでは出来ることは限られているけど、たくさんの人たちの助けてあげたいという気持ちが、助けを求めている人たちを救っていく。
包帯クラブを始めたメンバーが世界中で活躍して飛び回る。
それぞれの恋の行方も語られながら、成長した彼ら活躍が頼もしい。
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人の痛みを受け止める続けるには
強さなのか。
優しさなのか。
何が備わっていると
そういう人でいられるのかを
考える
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「この世界には、たくさんのつらいことがある。悲しみがあふれている。その一つ一つに手当てをすることは誰にもできない。だからといって、何をしたってむだ、なんて言いたくはない。」
前作からかなりスケールが大きなり、世界を舞台にした物語になっていたけど、「包帯クラブ」が伝えたい根っこの部分はずっと変わらない。
コロナ禍で余裕がなくなり、つい自分のことばかりになってしまっている僕らに、誰かのためにほんの少しでも、自分にできることをしようと思わせてくれる。
誰かに寄り添う人がいる。優しさを与える人がいる。
それは小説の中だけのフィクションではなく、自分が一歩踏み出してみるだけで、誰かに何かを与えることだってできるんだ。
そんな勇気を与えてくれる本でした。
読んだあとはきっと、近くの知り合いでも、遠くの誰かにでも良いから、優しくしてあげたいって気持ちになるはず。
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傷そのものに包帯を巻くのではなく、傷ついた場所に包帯を巻くという小さな行動から始まった「包帯クラブ」。
その活動は、いつの間にか反響を呼んだが、理解できないことや反発があった事により、自粛させられた。
その後、六人の高校生は、包帯=「バンド」という意味合いから、音楽の「バンド」を始めるようになった。
そして、成人した彼らは、世界の紛争の現場へと活躍を拡げていく。
前作が発刊されたのは、2006年。あれから16年なので、読んだ時の記憶は曖昧でしたが、雰囲気は蘇ってきました。
映画化もされていて、ちなみにそのキャストは、
ディノ:柳楽優弥
ワラ:石原さとみ
ギモ:田中圭
タンシオ:貫地谷しほり
テンポ:関めぐみ
リスキ:佐藤千亜妃
です。
小さな活動から、まさかワールドワイドに発展していたとは驚きでした。
序章では、成人した「ワラ」の物語が描かれています。国際医療団の看護師になった「ワラ」は、紛争地にて傷ついた人達を助けています。そこで、フォトジャーナリストとして活躍する「ディノ」が撃たれたことを知ります。
過去を振り返るかのように高校時代の模様を描きながら、同時進行で「今」も描かれています。
高校時代の描写は青春小説でした。こちらは「ギモ」の視点で進行していきます。包帯を巻く活動は自粛したものの、バンド活動ではその経験が活かされています。
訴えたいことを歌詞にしたり、包帯を使ったりと「包帯クラブ」再始動のような活動に、読んでいて心が躍りました。
その中で垣間見る、人々との交流や困難な状況にどう前向きに捉えていくのか。
良いなぁ、青春!とか思ってしまいました。前向きに頑張っている高校生達に自分もなんだか前向きな気持ちにさせられました。
特に困難を乗り越えての演奏シーンは読み応えがありました。
一方で、成人した物語では世界の紛争が背景になっています。ギモは看護師、ディノはフォトジャーナリスト、その他のメンバーも世界の現場で活躍されています。
青春時代とはうって変わり、こちらはシリアスさが勝っていました。まさか、あの高校生達がこうも成長するとは・・。
みんな頑張っていて、それぞれが成長し「人」のために頑張っている姿に勇気を与えられました。
また、戦争が与える影響など世界情勢も絡んでいて、色々と深く考えさせられました。
「包帯クラブ」で培ったものが、世界にまで発展している光景に「継続は力なり」という言葉が浮かび上がってきました。
傷ついた場所に包帯を巻く。それだけの行動なのに世界の人達にまで影響を与えていることに改めて感動してしまいました。
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前作があるのを知らずに読みました。涙が溢れる。
『この世に生を受けたすべての生き物は、命の危機にあるときには、〈ここよ、わたしはここ。わたしを見て。わたしに手を差し伸べて。〉と助けを求める権利…いえ義務がある。命とは、決して個人だけのものではなく、多くの人や自然とつながっているのだから。』胸を打つ言葉にたくさん出会えた。
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前作からかなりの年月がたって失念したことも多かったけれど本作品だけでもこんなに感動を味わうことができた。ついつい自分のことだけを考えてしまいがちな日常。コロナ禍でままならないことが多い今、心に響いてくる内容だった。人の痛みに寄り添うことがこんなにも大きな力となって世界中に広がっている。彼らの青春時代、現代と綴られいく文章を夢中になって読んだ時間はとてもとてもかけがえのない体験だった。私自身の生き方を見直すきっかけになるかな。
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先が見えない暗い現実に希望の光を与えてくれる一冊。ディノの優しい言葉が心に響いて鳴り止まない。包帯クラブの仲間に出逢い、想像力の大切さ、行動する勇気をもらった。
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この世に生を受けたすべての生き物は、命の危険にあるときには、〈 ここよ、わたしはここ。わたしを見て。わたしに手を差し伸べて。〉と助けを求める権利…いえ、義務がある。
「助けて」や「わたしを見て」の代替としての役目が包帯にはあるんですね。
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前作、包帯クラブから16年目の本作だそうです。
クラブのメンバーも前作と同じもしくは追加メンバーもいますが、すべて忘れています。
その彼らも大人になって、社会人になって、医療現場だったり、報道カメラマンだったり、外交的仕事についたり、国際的に動いていて、包帯クラブもバンテイジ・クラブとして、その活動は世界的なものになっています。
痛みや悲しみや辛さは世界共通どこにでもあって、彼らの活動はとどまることがないのです。
もしこの作品が映像化されるとしたら、BGMはスピッツかなと思いましたが、やっぱりあいみょんだなと、頭の中であいみょんを流しながら読み終えました。
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その後の包帯クラブの活躍。それぞれ自分のなりたい者になっていくのが、うまくいきすぎているとは思うけれど、小説の中だけでも良い方に繋がる偶然の果ての必然が嬉しい。
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赤ちゃんはなぜ大声で泣け叫ぶのだろう。
身体全体を震わせ、全身を声帯にして、
力限りに大声をあげる。
お腹すいたよ、お尻が濡れて気持ち悪いよ、
痛いよ、かゆいよ、寂しいよ・・・
誰もが持てる力を振り絞る。
それが大人になるにつれ、大きな声をあげなくなる。
他人の迷惑になってはいけない、
大きな声を出すなんて恥ずかしい、
周りの人の迷惑になる・・・
その気持ちのひとつに、声を上げたって、
誰も自分を振り向いてくれない。
誰も自分を助けてなんてくれない。
目の前の問題を解決するのは、自分一人。
誰も助けてはくれない。
自分なんて取るに足らない存在なんだ。
そんな孤独感、寂しさ、諦めといった感情を、
年ととるとともに覚えるのかもしれない。
いつしかそれが当たり前になる。
結局、頼りになるのは自分だけなんだ。
巨大な世界の中であまりにちっぽけで、
強力な社会の中であまりに非力な自分。
そんな押しつぶされない心に、
大きなエールをくれる物語。
あなたのことを見てるよ。
自分を見て、そう言ってごらん。
必ず助けてくれる人がいる。
僕らが助けるから。
優しくって強くって、
それでいて弱さを受け入れてくれる。
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一万円選書で選んでいただいて読みました。前作は読まず、この巻からでしたが、お話にはスムーズに入っていけました。内容が爽やかでベタな大人の青春って感じで読み終わったあと、スッキリした優しい気持ちになりました。
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感想を書きこもうとして気づきました。続編だったんだ。
確かに主人公達がいきなりニックネームで動き出すし、どことなくバックグラウンドの説明も不足してた。そもそも本を手に取ったとき「妙に新しいな~」と思ったのです(第1作は2006年、この続編は2022/3出版)。
もっとも軽い違和感を感じたレベルで、この本だけで問題なく読める完結した話です。とは言え、前作を読むともう少し理解が深まるのかもしれません。
天童さんのテーマは「人に寄り添う」ことだと私は勝手に思っていますが、この本もそれを存分に描いた善意の本です。
人の事を思う、差別を無くす、「私はここにいる」と立ち上がる。最初から最後まで、善意を分厚く塗りたくって行く。善い話なのです。
でも、美味しいケーキのクリームも、余りに同じ味が続くと最後に胸につかえるように、善意が鼻についてきます。ちょっとやり過ぎかな。